第15話 仲良きことは良きことかな!
「はじめまして、ジータ様、シーヤ様、ショーキ様、セーナ様、ショーコ様、タマキ様! お、いえ私がキョマラの甥でダイマラと申します。本日は隣街までご案内させていただきます」
普段は俺なんだね。村を出たら普通通りに話して貰おう。
「はじめまして! ヨロピク〜、神子様たち〜。アーシがホトカゲの姪でルナアルだよ〜! 街まで女子会しようねぇ〜 セーナっち、ショーコっち、タマキんち!!」
この世界にもギャルは居た!? 衝撃の事実だよ。しかもそれがホトカゲさんの姪っこさんだなんて!?
タマキだけ微妙な呼ばれ方をしたから片頬がちょっとピクピクしてるけど……
「コラッ、ルナアル、ダメでしょ。ちゃんとした言葉遣いをしなさい!」
「え〜! ムリムリよ〜! ホトカゲ姉ちゃん! アーシの個性がタヒっちゃうから〜!!」
うん、この子の相手は女子に任せた!! 僕とシーヤとショーキは目線でそう決めて頷きあったよ。
「エーッ、なになに、オノコ同士で見つめ合って頷きあっちゃってーっ! もしかして、三人は、イケナイ関係? ウケるーっ! ニシシッ!」
絶対に相手にしないようにしよう! 決意を新たにしていると、ダイマラさんがルナアルさんに怒った。
「ルナアル! 皆様に対して何という失礼な言葉をー!! もし仮にそうだとしても、ソっとしておくのが正しい態度だと思わないのか!!」
いや、ダイマラさん、僕たちそれぞれにちゃんと【女性】の伴侶がいますからねっ! 何分にも貴方もちょっと失礼ですよ!
「な〜に〜、ダイっち〜、そんな、怒んなし。ほら、神子様たち笑ってるし! ニシシ!」
うん、セーナもショーコもタマキも笑っていた。確かにこの三人とは違う個性の持ち主だから、三人とも新鮮なんだろうと思う。
「いや、しかしだなっ!!」
ダイマラさんが更に抗議しようとしたけれども、キョマラさんとホトカゲさんに諭されて矛を収めた。
「良いか、二人とも。ちゃんとジータ様がたを街までお連れするんだぞ。ダイマラは安全な道を覚えておるな?」
「はい、伯父上! 俺に任せて下さい!」
「ルナアル、セーナ様たちが退屈しないようにちゃんと案内するのよ」
「任せて、ホトカゲ姉ちゃん。アーシがちゃんと案内するし!」
うん、まあ楽しい旅路になりそうだ…… なるかな……?
よくよく聞けば隣街までは徒歩だと二日ほどかかるそうだよ。なので途中で野営する必要があるらしい。
「野営の時には俺がテントを張りますんで!」
なんて張り切ってダイマラさんが言うけれども、ショーキが直ぐに、
「いや、僕たちちゃんと自前の小屋がありますから大丈夫です」
と答えた。その答えに落ち込むダイマラさん。そんなダイマラさんにルナアルさんが声をかける。
「ニシシ、アーシのテントはよろしくね〜、ダイっち〜」
「バカを言うな、ルナアル! 自分のテントぐらい自分で張れ!」
「え〜! セーナっち〜、ダイっちがアーシをイジメる〜」
「あの、ダイマラさん。もしも余力がお有りならルナアルさんのテントを張って貰えますか? 私たちも手伝いますので」
ルナアルさんに乗せられてセーナがそう言えばダイマラさんは
「いえ、セーナ様! コヤツのテントごとき私一人で十分です! 三秒で張ってみせましょう!!」
なんて意気込んで言っている。セーナは僕の伴侶ですからね! ダイマラさん!
ちょっと嫉妬しながらも普段からルナアルさんを見てるとしたらセーナやショーコ、タマキのような女子は眩しく見えるんだろうなという事も分かる。
まあ、僕はルナアルさんを眩しく見えないけどね…… 陽キャのキャラとはやはり相容れないみたいです。
「ジータ、今日は私たちルナアルさんのテントに一緒に泊まるね」
「うん、分かったよセーナ。シーヤに周辺に遮断をかけて貰うけど、危ないと感じたら小屋に入るんだよ。勿論だけどルナアルさんも一緒にだよ」
「ニシシ、ジータっち、さてはアーシに惚れたな? けどざ〜んね〜ん! アーシにはダイマラという婚約者がいるなし!」
「それはまだ決定ではないぞ、ルナアル! それに神子様がお望みならばお応えするべきだ!!」
「あの〜…… 僕たちはそれぞれ、伴侶が既におりまして。ルナアルさんを望んだりはしませんので大丈夫です(キッパリ!)」
「なぁ〜!? そんなハッキリ断られると流石のアーシでも落ち込むっしょ……」
いや、演技は良いですからルナアルさん。それにルナアルさんがダイマラさんを好きなのは見ててわかりますよ。
「そ、そうですか、ジータ様、シーヤ様、ショーキ様。という訳だからルナアルよ、余計な事を言うのはやめるんだ」
まあ、ダイマラさんの方はそんなにルナアルさんの事は好きじゃないのかな? いまいち良く分からないや。
「ふーんっだ! ダイっち、ホントはアーシがジータっちに抱かれたら枕を濡らすくせに〜」
「濡らすか!! お前も両親たちが決めた事などに従わずに本当に好きな男を探すんだ。俺は村をしっかりと守る為に弱みを持つことはしないからな」
あれ? 伴侶を得る事が弱みになるって考えてるんだね。これはダイマラさんと一度はちゃんとお話しないとダメだね。僕とセーナはこの世界に
「アーシはダイっちが好きだよ〜」
うん、その軽いノリで言うからダイマラさんは信じないんだと思いますよ、ルナアルさん。
「
「ニシシ、ダイっちが照れてるよ〜、ショーコっち」
「う〜ん、ちょっと違うと思うわ、ルナアル」
そんな会話をしながらも僕たちは先に歩を進めたんだ。
道中には魔獣も出てこずに順調に進んだよ。そろそろ日が沈み始めるという時間に何とか野営場所にたどり着いた僕たち。
ダイマラさんは宣言通りにルナアルさんのテントを先ずは張った。三秒でとはいかなかったけど、三分で張ったのには驚いたよ。とても手先が器用でショーキとどっちが器用かななんて思ってしまったぐらいだよ。
僕たちは小屋を出して設置して、それからダイマラさん用にも中が僕たち仕様になってない小屋も出してあげた。
「ダイマラさん、ダイマラさんはこの小屋を使って下さい。寝るだけになるけど、外の音を完全に遮断してくれるから良く眠れますよ」
「ジータ様! そんな、畏れ多い! 俺はテントを張りますよ!!」
「いやいや、これは僕たちの為なんです。僕らだけ小屋に寝るなんて気が引けてしまうから、絶対に使って下さいね」
少しばかり圧を込めてお願いしたよ。
「分かりました、ジータ様がそう仰るなら……」
それから夕飯はバーベキューにしたんだ。みんなでワイワイと楽しめるからね。
「ナニコレ!? ウマすぎるっしょ!?」
シーヤの知識と採取した素材を合成してショーコが作ってくれた焼肉のタレはルナアルさんだけでなくダイマラさんからも大絶賛だよ。
「これは正しく神の食事!! このような美味を味わえるとは!? ご案内できて俺は幸せです!!」
それから成人したら飲もうと思ってた果実酒も二人には出してあげた。
「ヤバいっしょ! 村一番の酒造り名人のガーナンさんの果実酒よりウマいし!!」
「こ、この果実酒は幾らお支払いすれば良いのでしょうか、タマキ様?」
聞かれてタマキが
「う〜ん、どうなんだろ? 料理関係はショーコが担当だから、値段はショーコに聞いて欲しいかな」
と返事をすると、ダイマラさんとルナアルさんの視線がショーコに向く。
「えっ!? えっ!? ね、値段? いや、別に欲しいならタダでも良いよ。調子に乗ってたくさん仕込んじゃったから」
「それはダメだし、ショーコっち! これなら一万テンの価値はあるっしょ!」
「馬鹿な事を言うな、ルナアル! 絶対に三万テン以上の価値がある!!」
う〜ん、本当にその辺に普通になってた木ノ実を使ってショーコが片手間に漬けた果実酒なんだけどな。そんなに美味しいのかな?
「そ、それじゃ間をとって二万テンでどうかな?」
「「買います!(買うっしょーっ)」」
そのままダイマラさんもルナアルさんも二本ずつ(竹筒凡そ一リットル)ショーコから果実酒を受取り、それを呑み始めた。
「だ〜か〜ら〜、ダイっち〜、いい加減、アーシで妥協しないとだし!」
「妥協などと自分を卑下するなルナアル。言葉遣いはともかく、お前の容姿は村の誰もが認めるものだ。お前も俺みたいな堅物よりももっと良い男の方が良いマロウ(だろう)?」
「アーシら(は)ダイっちが良いの〜」
と言いながら酔っ払いダイマラさんにもたれかかるルナアルさん。
「すみません、皆様。今日はこれでお開きでよろひい(よろしい)でしょうか? 構わなければルナアルも俺用の小屋に寝かへ(せ)たいと思いまふ(す)」
「うん、そうだね。片付けはやっておくからダイマラさんももう休んでね」
僕たちはダイマラさんも酔ってるのを確認してそう言ったんだ。しかしとか言ってたけど強引に休んで貰ったよ。
で、片付けを終えた後にはテントは使用せずにみんなそれぞれの小屋に引っ込んだよ。
もちろん、ヤる事はヤッたのは言うまでもないよね。
異世界でチョメチョメ背負って生きてます。 しょうわな人 @Chou03
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