第2話 街灯の下で

       誰もがみんな、

            寝静まり、     


      音一つない、この街の、


            何処までも続く、


        真直ぐに、  伸びる、

           

             一本の通り。


      その両脇に、

          定規で測った間隔で並ぶ、          


      白い傘差し、

         小首傾げて覗き込む、

 

     見通す限りに、何処までも続く街灯が、

           

         自分を迎えようと、

     

         手を、   伸ばしているのが、


              見えた。



       通りを歩き、

           やがて踏み込むスポットライト。



         今日の、今の、この時だけは、

       

           他の誰でも無い、


              自分だけが主役の、


           舞踏会が、


                その幕を上げる。



       昼の世界で、

          手足に括り付けられた、

               重い手かせと鎖とが、


         この時だけは、  無くなって、

   

       軽く踏み込むステップは、


              自分でも、


                  涙が出る程軽やかで、



            何時までも、こうして、


           踊り続けていられたら、と。



              進むたびに、後ろから前へ、

         クルリ回って廻り込む、    

       

              影が何時しか浮き上がり、


            知らず知らずに手を取り合って、



            回り踊り続ける円舞曲ワルツの時間。


           笑っちゃうほど軽やかに、


                   踊り続けるその影は、


             何時しか、

                 責められ、

                     追われた末に、


               自分からそこに仕舞い込んだ、


            今ではすっかり忘れてしまった、

                    

                  嘗ての、

            

                自分自身の、姿だった?


                   大丈夫、 


                今、この時だけは、君の事、


                 責める者、笑う者は、


                  何処にもいない。


            だから、笑って、一緒になって、何時までも、


                踊って、踊って、踊り続けよう。



            全て終わって、カーテンコールの済んだ後に、


                 その時どちらが自分になって、


               明日の日を迎えるか、


                    その答えは、


                 その時になって、


                     考えよう、と、


                          思う。





                              終

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環境文楽の試み 色街アゲハ @iromatiageha

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