エピローグ
星を越えた約束
あれから数日が経った。
すい星は一番近くの場所を通過し、遠ざかる軌道に入っていた。
日々、遠くなっていき、あの冒険の日も遠くなっていく。
夢を通じた移動だっただけに、本当のことだったのかなとたまに思う。
でも、あの世界の空気感、トラウムに教えられた教室でのざわめき、見上げた青い星の空、そしてステラの声と手の感触、なによりあの日の約束。
何一つ忘れない。
僕は、いつか星を目指すだろう。
そして、またあのすい星にたどりつき、特別な友達とまた出会うだろう。
それまでに僕はもっとこの星のことを知らなくちゃ。
次にすい星学園に行ったとき、みんなにそしてステラに青い星のことを何でも答えてあげるんだ。
それにしてもなんてすてきな冒険だったんだろう。
星の精霊に誘われて、星を越えて星の民と会い、星の姫とともに冒険をして、なんと星を救ってしまった。
一夏の冒険としては、考えられないほど、楽しく幻想的でまばゆい想い出。
僕はあの最初の日のように、機材を持って屋上にいる。
天体望遠鏡、いすと水筒とお菓子、あの日と同じラインナップ。
望遠鏡をのぞくと、そこには尾を引いて夜空を駆けるすい星トラウム。
もちろん、星のみんなは見えないけれど、すい星の美しさは変わらず見えている。
ステラは命の輝きって言ってたっけ。
僕には夢のスクリーンに見えた。
いつか、また会おう。二人の間には星を越えた強い約束がある。
その約束があるかぎり、青い星とあのほうき星は、いつだってつながっているんだ。
すい星の教室でまた会いましょう 季都英司 @kitoeiji
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