【超速報】消費税TS% 施行!!!【短編】

ほづみエイサク

全編

 世の中では、とある話題に持ちきりになっている。

 先日の総裁選で選出された、新しい首相。


 破瓜総理。


 彼が就任時に放った一言は、日本人のHENTAI達を駆り立てた。


 

『消費税15% or TS%』

 


 消費税TS%。

 つまり、消費税性転換・・・%。

 『%』は、金玉2つと女性器を表しているらしい。


 そんな説明で納得できるはずがない。

 

 一体全体、どういう意味なのだろうか。

 今、テレビ画面の中で有識者とアナウンサーが説明している。



『つまりですね、TSとはTrans Sexualの略称なんですよ』

『そのままの意味で言えば、性転換ですよね?』

『その通りです。この施策では、その性転換を税制に組み込もうという』

『というと?』



 有識者がフリップを取り出した。



『本日から消費税は15%に引き上げられます。ですが、それだけでは国民の顰蹙ひんしゅくをかうことになるでしょう』

『その通りですね。国民はさらに厳しい生活を強いられることになります』

『その対策として、消費税を選択式にしたのです』

『選択式、ですか?』



 強く頷く有識者。



『例えば、コンビニでコンドームを買ったとします。仮に500円だとすると、消費税は75円かかることになります』

『うわー。そう聞くとやっぱり高いですね』

『しかし、支払いをする際、レジでこのように表示されます。消費税15% or TS%』

『どうすればいいのでしょうか?』

『消費税を支払う場合は15%を選びましょう。ですが、払わない場合には、TS%を選ばなければなりません』

『その場合、その場で性転換光線を浴び、男性は女性に、女性は男性になります』

『本当にそんなことが可能なんですか?』



 アナウンサーの疑問は最もだ。

 まだまともに性転換手術もできない日本において、この法律はとんでもないものだ。



『破瓜総理は文部科学大臣時代、TS装置研究に多額の支援を行っていたようです』

『それで今回実用化された、ということですか?』

『はい。すでに』

『かなりスピーディーですね』



 その後は、TS装置の技術や歴史についての話が続いた。



「なあ、今日から施行だろ。消費税TS%」

「そうだね」



 社員食堂の対面の席。

 そこに座っている男に声を掛けられた。


 僕より顔2つ分大きい同僚。

 同性の幼馴染で、高校から疎遠だったのに偶然同じ会社に就職したという、とんでもない腐れ縁の持ち主だ。


 ちなみに、今は終業後で適当に休憩している。



「普通に払うなら消費税は15%。だけど、TSしたら払わなくて済む」

「15%ってやばいよなぁ。でも、さすがにTSは嫌だ。TSするぐらいなら男のままで必死に働く」



 僕は驚愕した。



「え!? 僕は全然、TSを選ぶよ!? そっちの方が絶対にお得じゃん!」

「マジか。女になるんだぞ?」

「一度は女になってみたい。男のロマンだろ」

「女になってナニをする気だよ」

「そりゃあ決まってるでしょ。オナニーしたりセックスしたり。女の快感は男の何倍も強いって言うし」

「もしお前が女になっても、セックスするのはイヤだな」

「なんでだよ」



 地味にショックだった。

 そこまで好かれているわけではないにしろ、かなり仲がいいと思っていたから。



「だってそうだろ? 人工的な女性器なんて、気持ちいいとは思えない」

「じゃあ、気持ちよかったらヤってくれるのかよ」

「ああいいぞ。今晩にでもヤってやる」



 ふいに、テレビからの音声が耳に入る。



『皆さん気になっていると思うのですが、TSした場合、性交渉は可能なのでしょうか』

『もちろん可能です。しかも、』

『どういうことですか?』

『実際、産まれながらの女性の膣よりも、効率的に快感を与えられるように設計されているそうです』

『なるほど。それは驚きですね』



 しばらく、気まずい沈黙が続いた。

 心臓がバクバクと鳴って、舐めても舐めても唇が乾いていく。



「なあ、最近、彼女とセックスできていないんだ」

「そうなんだ。でも、その彼女とは結婚も考えてるんでしょ?」

「お前と俺は友達だろ? それに、お前は男だ。同性同士で遊ぶのに恋人の許可も何もないだろ」

「……そうだね」



 幼馴染はおもむろに、財布からお金を取り出した。



「なあ、コンビニでコンドームを買ってきてくれないか? Lサイズ」

「Lサイズ……」

「ああ、Lサイズだ」



 Lサイズ。

 たしか、トイレットペーパーの芯に入るかどうかでサイズがわかると聞いた覚えがある。


 トイレットペーパーの芯。

 今自分についているものより、よっぽど太くて大きい。



「消費税抜きで、この値段のはずだから」

「税抜き……」



 つまり、そういうこと。

 思わず、ゴクリと喉が鳴った。



「早く買ってきてくれ」

「うん。わかった」



 僕はそそくさとコンビニ向かった。

 コンドームを棚から取り、レジへと向かう。


 レジの店員は女子大学生だった。


 ピッとバーコードを読み込む音が響くと、画面に表示された。



 消費税15% or TS%



 15%を押せば、消費税15%を払うことになる。

 TSを押せば、そのまま性転換出来てしまう。


 性転換をした後は、幼馴染のトイレットペーパーの芯が待っている。


 チラリと見ると、店員の頬が赤くなっていた。

 僕が今からナニをするのか、なんとなく察しているのだろう。


 ハチャメチャに恥ずかしい。

 だけど、欲望に抗えるわけがない。


 画面を押した瞬間、まばゆい光が僕を包み込んだ。


 近くに鏡がないから、自分の姿はわからない。

 だけど、店員の目の色が変わっているから、本当にTSできたのだろう。


 ダボダボになった服を必死に抑えながら、コンビニから出ると幼馴染が待っていた。



「えっと、本当にお前なのか」

「買ってきたよ。Lサイズのコンドーム」



 コンドームが入った袋を受け取ると、幼馴染は明らかに頬を赤らめた。



「お前、女になるとかわいいんだな」

「そうなんだ。まだ自分で見れてないからわからない」

「すごくかわいい。彼女よりもよっぽど」

「……ありがとう」



 それから、隣同士のまま無言で歩いた。


 ラブホ街に来たけど、どこも満室になっている。

 おそらく、そういうことだろう。



「じゃあ、オレの部屋に来るか? ちらかってるから時間が欲しいけど」

「汚いって、そんなの見慣れてる」

「そ、そうだったな」

「汚くても別に気にしないよ」

「エロ本だっていっぱいだ」

「平気だ」

「使用済みのティッシュだって……」



 僕は衝動のままに幼馴染に抱き着いた。

 彼の股間に触れると、とても熱い。



「そんなの、どうでもいいよ。もう我慢できない……」

「……我慢、してるのか」

「ずっとウズウズしてる」

「濡れているのか?」

「……早く、いきたい」

「……そうだな」



 幼馴染の部屋に着くと、僕はドアが閉まるのも待ちきれずに服を脱ぎだした。


 バタン、と玄関のドアが閉まる。

 その数秒後には、ベッドに倒れ込む音が大きく響いた。




 この日から、日本に大きな転機が訪れた。

 出生率はうなぎのぼり。

 経済は循環して、年金問題は解決。


 こうして破瓜総理はTSで日本を救った偉大な人物として、歴史に名を刻むのだった。






――――――――――――――――――――――――――――

あとがき



あるWEB小説家(自称)はX(旧ツイッター)のトレンドを見た瞬間、目ん玉をひんむいた。



――消費税TS



一体どういう了見だろうか。

まるで戦場に向かった息子からの電報を見るような気持ちでクリックした。


そして目にしたのは――

消費税15%


そう。15をTSと読み間違えたのだ。


WEB小説家は嘆き悲しんだ。

この世界に慈悲はない。

理不尽にまみれている。

TSは現実に存在しないし、私はいつまでも冴えないおじさんのままだ。


いくら女体化催眠音声を聞いても、催眠にかかったフリをして本当に絶頂したみたいに体をビクビクと動かしても、所詮はまがい物。

本当のTSじゃない。


いくら催眠音声の中で機械〇されても、絶頂するときのエネルギーを吸収されるコアにされても、AV女優やドールになっても、触手や百合攻めされても…………。

本当のTSはできないのだ。


悟り、絶望し、悶え苦しんだ。

しかれども、その苦しみの中で手に入れたのだ。


このくだらない小説のアイディアを。




たまに一風変わったTSモノの長編を書いているので、よければ遊びに来てください!


連載中:

美少女TSした僕と、余命1年の悪友ヤンキー ~我慢すれば戻れる1年間~

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093084790214689


完結済み:

余命8年バニーガールのもとに幼女転生したので、人生をやり直そうと思います

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093078298464598

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