一閃

第1話

あかね色の夕焼けに

長くのびる影法師

影踏み鬼を懐かしみ 思いだし笑い ひとつこぼす


「おうちに帰りましょう」のアナウンスに 振り返るけど

「ただいま」と帰る場所も

未だ 探せずに歩いている


春風の花の香りに いざなわれ

夏の夕の一瞬の涼風に 身を委ね

秋の野分けに 戦慄おののいて

冬の冷たい風に 人のぬくもりをほっしながら

風に背を押され 向かい風に逆らって 旅は風と共にある


根無し草は 吹かれ

涙も怒りも吹き飛ばし

在るがまま 風に吹かれて道を


今日から明日へ 旅を

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