第2話 唯子の話 母より(ナレーター)
唯子のこと、話していなかったわね。
宮坂唯子という女の子で、小学一年生なの。
田舎の町で暮らして、近くの小学校に通っているの。
読み書きはある程度できるんだけど、
なんだか、人の話はよくわかっていないとこ
ろもあるみたい。
じっとしていられないとかそういうのは
なくて、本当に落ち着いていて物静かなの
よ。
おうちでは、今日あった出来事を楽しそう
に話してくれるのよ。
でもなんだか小学校では、他の子との関わ
りをもたないで、ボォーッとしているみたい
なのよ。学校の先生から言われてしまったの。
はっきり言ってしまえば、人見知り。
あるいは、他の子と関わるきっかけを自分で
作ることができないのかと母は思ったり。
あとは、関わることのメリットを感じて
いないのだろうかなんて、母はそんな考えを
ぐるぐるとめぐらせていたんだけど。
実際には、唯子はいつもボォーッと
しているだけなのかもしれないとのこと。
どうして、ボォーッとしているの?って聞
くにも聞けないでいるのよ。
唯子の個性というか、ボォーッとする時間
も必要なのではないか、そう思っていたの。
そんな矢先にね、授業参観があって学校に行く機会があったのよ。そしたら、保健の先生に言われたの。
「唯子ちゃんにとって夢中になれるような興味関心のあることってありますか?」っと。
唯子にとって、夢中になれることってなんだったっけ?
そんな気持ちでいっぱいになると、唯子のことをきちんと理解していたかなぁ。
家にいる時や小学校では何をして遊んでいたんだろうって、思うようになったのよ。
そこで母は、唯子がなにか夢中になれることはないのか、いろいろ試してみたのよ。
水泳、ピアノ、そろばん、、、。
そしたら、ノートには興味があったようなの。
居間のテーブルでノートを開いては閉じているのよ。ペンは出したりしまったりしていてね。
書けないって言いながら悩んでいる姿をみて、あまりみたことなかったなぁってちょっと反省したところだったのよ。
次のお話からは唯子目線からお届け。
母は途中でこっそり出てこようかしらね。
では、失礼しますわよ〜( ̄∀ ̄)
初めてのノート チューリップ猫。 @churiipuneko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。初めてのノートの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます