遺書〜女ですが、なにか問題が？〜

第1話 放置子長女 〜おもひで〜

江戸時代から続く、大店の長女として産まれた。

代々、所謂『男腹』で。

実に50年ぶりの女子の誕生に、一族が喜んだ。

特に祖父母からは『お宝の子』と溺愛された。

当時、我が家には丁稚さん、姉やさんがいて。

皆から「若旦那のお嬢さん」と呼ばれ、可愛がられた。

お店は当時21:00まで営業しており、姉やさんとかと遊んでもらい、お掃除などが終わったあと22:00からお夕飯。

お風呂に順番に入り、日が代わる頃に床につく。

そんな毎日だった。

お店は1階。

毎度のお食事も1階。

2階は丁稚さん、姉やさんが1人3畳の個室。

3階が家族の居室。

祖父母が手放したくなかったのか、私は毎晩祖父母と寝ていた。

祖父が面白可笑しく読んでくれる漫画『のらくろ』が大好きだった。

大好きだったけど。

状況が変わった、

弟が産まれたからだ