ネピード

オレンジ ダック

第1話


第一章

大男達、ネピードの村へ


中世ヨーロッパで、月光が照らす深い森を数十人の大男達がネピードの村へ向かって馬を走らせていた。彼らは重武装していて険しい表情をしていた。

「目的地まで後どのくらいだ?」一人の男が聞いた。

「私は、はっきりと騎士道放浪霊を感じることができる。そう遠くは無い」

別の男が言った。

「夜明けまでには着くだろう」グループのリーダーが言った。

「また霊が一つ村へ向かっている。かつて、こんなに多くの霊が一か所に集まっていた事はなかった」

「ふむ」リーダーの男がうなずいた。

「この地の勇者は力と高潔さを兼ね備えているかもしれぬ」

「期待出来そうだな」


 ネピード 、ブロンドの髪と青い目をした勇敢な十六歳の少年は広大な国のはるか北の小さな村に住んでいた。

 その夜、村では宴会が開かれていた。皆が楽しんでいた。

そんな最中、マリアがつぶやいた。

「今夜は何か上空に気配を感じるわ。邪悪な感じはしないけど」

「そうなのか?」ネピードが聞いた。

「わしも感じるの」村の長老が言った。

「何なんですか?」

「分からんの。以前からおるよっての。規模が大きくなっているかの」

「渦を巻いているような気がする」マリアが言った。


 早朝に小鳥達がさえずっていた。村の人々は前夜遅くまで宴会を楽しみぐっすり眠っていた。小さな女の子が早起きし、村の門に向かって飛んでいる蝶を追いかけていた。蝶を捕まえかけた時に少女は何か硬い物にぶつかって地面に転んだ。

見上げると、馬に乗っている大きな男がいた。

少女は周りを見回し、他にも沢山の大男達がいるのに気づいた。

彼らは村へ早朝に到着し門の外で静かに陣取っていた。

「ママ、ママ」女の子がつぶやいた。

 少女は大声で泣きながら家の方向に走った。

「どうしたの?」娘の鳴き声を聞き家から出て来た母親が聞いた。

「怖いよ。門に大っきい男の人達が入って来たよ」

女の子が母に抱きつきながら泣きじゃくった。

「何ですって?何しに来たの?」

「分かんない」

「何人いるの?」

「分かんないよ。。」


門の近くに住む村人達が、少女の泣き声で目を覚まし家々から出てきた。

「門の外を見て!」一人の女性が叫んだ。

人々ははっと息を呑んだ。

「彼らは誰だ?ここで何をしている?」一人の男が聞いた。

「知らない。どうする?」震える声で別の男が答えた。

「誰か長老を呼びに行って」ある女性が言った。

若い男が長老の小屋へと走った。

「長老起きて下さい。大変です!」男がドアを叩きながら叫んだ。

長老はすぐに目を覚ますとドアを開けた。

「どうかしたのかね、そんなに慌てて?」

「門の外に馬に乗った大男達が現れました!」

「何だって?何をしに来たのかね?」

「分かりません。早く私と一緒に来て下さい」


ネピード、マリア、彼らの両親、三人の青年達、そして他の村人も騒ぎを聞き門に

向かっていた。

長老が間もなく到着した。

人々は馬に乗っている異様な大男達を見て驚愕した。

こんな出来事はこの村にとって初めてだった。子供達が泣き始め犬達も吠えた。

「あなた方は誰じゃ?ここで何をしておるのかね?」長老が聞いた。

巨大な男達は誰も何も言わなかった。

「この村を、通り過ぎようとしているのかね?水や食料が必要ならお分けしよう」

「ワハハハ!」男達が笑った。

長老は愕然とした。

ネピードは長老の横にいて男達を睨んでいた。

少年のぼやけた視力でも凶暴そうな男達を認識した。

「笑った?人の村へ勝手に入って来て。何しに来たのだろ。それにしても何て大きい男達だ?!」少年は思った。

少年の親とマリアは彼が男達に挑むのではないかと思い気が気でなかった。

ネピードは常に弱者に寄り添い行動した。

「とても友好的には見えない。しかし、彼らは門の外で静かにしているだけだ。村を攻撃しようと思っていたなら既に出来たはずなのに?」少年は思った。

「落ち着いてネピード。性急な事はしないで」母が言った。

「私と一緒にいて。静かにしていて」マリアも言った。

 

リーダーの男が話し始めた。

「我々の偉大な神に神聖な生贄が必要だ!誰かが志願したらお前達すべてを生かす。もし誰も手を挙げなかったら明日の日の出を見ることはないだろう!さあ、どうする?」

村人は恐怖で後ずさりした。これらの男達が敵であることを確信した。

「何だって?我々の貴重な命を捧げろだと?あなたらの神の為に犠牲?それはあまりにも卑劣だ!」長老が言った。

「生贄になる者を選ぶのに少しだけ時間を与える。要求は繰り返さない。誰も志願しない場合は直ぐ攻撃を開始する!」

他の大男達はただ馬に跨って厳しい表情を保っていた。

「分かった。私が生贄になろう。私は長く良い人生を生きた」長老が言った。

長老は男達が本気だと思い、また彼らに勝つのは不可能だと考え決断した。自分が犠牲になることで村人を救うことができれば、それで良いと思った。この村で本当に良い人生を送ってきた。

「残念だが御老体、あんたではだめだ。若者の生贄でなければだめだ!」

 長老は絶望した。ああ、何と酷い事を。若い命を犠牲に!

「見たところ男も結構いるじゃないか。誰かが我々と戦い勝利した場合には、誰も死ぬ必要はない。さあ、誰か勇敢な挑戦者はいるか?」

大男は震えている村人を見回した。彼の目は三人の青年に止まった。

「お前らはどうだ?結構強そうじゃないか。我々と戦うか?」

 三人の方向に大きな剣を指して言った。

「冗談じゃない。俺はこの村でいつも正直に生きてきた。あんたらの不条理な要求に付き合う気はない」ヘンクスが言った。

恐怖で額には汗が滲んでいた。

「それでは、お前はどうだ?」大男は隣にいた青年を指した。

「俺を指さないでくれよ。村には他に沢山の男がいる。そいつらに聞いてくれよ」

「らあああ!」大男が叫んだ。

 彼は持っていた剣を三人に向けて投げた。

剣は三人の直ぐ横の木に突き刺さった。

 村人が騒然とした。何人かの村の男達が顔を見合わせた。

「どうする?奴らと戦おうか?」一人の男が聞いた。

「いや、そんな事をしたら村は全滅する...」別の男が言った。

 長く平和が続いたために、村の男達は武器も無く戦いの訓練もしていなかった。

「臆病者どもが。誰か他にいるか?もうそろそろ時間切れだ!」


ネピードは短剣とダーツで敵に挑もうかと考えた。だが、一人や二人を倒せたとしても、大男達が村人に襲い掛かるのは確実だった。大勢の人が命を落とす事になるだろう。それは何としてでも防がなくては。

奴らは生贄に若者を欲しいと言っていた。自分が生贄になるしかないのか?

少年は悔しさと怒りで凄まじい表情になった。

突然、強烈な青い炎が少年の拳で炸裂した。

彼の目は焦点を失っていた。

すると、少年の体から鋭く細い青い炎が上空に上がった。

何かの限界を超えたように見えた。

秘めた力が彼の体と魂から浮上したのだった。

 少年は怒りに我を忘れた後しばらくして沈静した。


 大男が真剣な顔つきに変わった。

「ひひぃ~~~ん!」男の馬が大きな音を立てて後ずさりした。

 他の大男達と馬も同様に反応した。

「あの少年は、青炎を持っているようだ!信じられない。見たか?」

リーダーの大男が、馬に乗った隣の男に聞いた。

「何ということだ!間違いなく青炎だった。赤炎ではなく」男は答えた。

「北部の小さな村で青炎に遭遇するとは...」別の男が言った。

「後は勇気が有るかどうかだな」リーダーが言った。


「何か光ったかな?!」マリアが思った。

「何か光ったかの?ネピードかの?」長老も思った。

「ママ、青い光が見えたよ」少女がつぶやいた。

「空に舞い上がったわね。ネピードだわ。秘めた力を持つ心優しき少年が本気で怒っているのよ」母が言った。


「なぜこんな卑劣な事をする?」ネピードが聞いた。

「我々の偉大な神がお望みだ」

 この野蛮で不条理な答えを聞いた少年はまたしても怒りで体が震えた。

 次の瞬間、少年は敵のリーダーに向けて猛ダッシュしていた。

村人の安全を考える事などの冷静さを失っていた。

戦う事しか頭になかった。

 ネピードは高くジャンプした。凄く高さのあるジャンプだった。


「なぜネピードはあんなに高く飛べるの?」少女が聞いた。

「あの子の力だと思うわ。迷わず立ち向かったわね」母が言った。

「戦わずにはいられないじゃろ」長老が言った。


短剣で敵の胸を思いっ切り刺した。

大男は短剣が刺さったままで少年の首を激しく掴んで地面に投げ捨てた。

 少年の母は失神した。村人は恐怖した。

 何人かの大男達が馬から降りた。

乱暴に少年の首にチェーンを巻きつけた。

「ネピード!」マリアが叫んだ。

 男達が立ちはだかり村人が少年に接近するのを防止した。

「おお神よ、少年を助けて下され!」長老は嘆いた。


「この少年が生贄になる。しばれ!斧を持って来い!」リーダーの大男が言った。

男達は少年を近くの石の壁に引っ張って行った。

壁の高い所に釘を打ち少年を吊るした。

ネピードはもがき苦しんだ。

少年は憎悪の目で男達を睨んだ。


「ネピードは強い力を持っているんじゃなかったの?」少女が聞いた。

「そうね。こんなはずじゃー?だって、少年が生まれてからずっと季節外れの雷、竜巻、あの世の叫びにも似た風が吹き荒れたわ」

「わしも同じ事を思っておった。明らかに何だかの勢力が衝突し、さ迷っているような気がしておったのじゃ」

「でも長老、ネピードはなぜ大男に簡単に捕まってしまったのでしょう?あの強烈な青い炎を使わなかったのでしょう?」

「わしにも分らんのじゃ」

「これからどうなるの?」

「負けないで。ああ、どうしたら良いの?」


リーダーの男が馬から降りた。

彼は、両刀斧を持って仁王立ちした。

 少年に向かって力いっぱい斧を投げた。

村人が恐怖で叫んだ。

 しかし、次の瞬間ネピードが地面に落ちた。

男は少年の頭の上のチェーンを切ったのだった。

少年の首からチェーンを取り外し、少年を立ち上がらせた。

男はネピードを笑顔で見つめた。


「少年よ、我々は探していた人間を見つけた。それは君だ」

男は優しく言った。

 ネピードは驚いて男を見た。

村人達も呆気に取られていた。

 他の大男達も表情を和らげ笑顔を見せていた。

 村人皆が少年のもとへ走った。


「皆さんに怖い思いをさせて申し訳ありません。真の若き勇者を探す為に必要でした。どうかご理解して下さい」男は村人に語った。


大男達が突然、中年の男と女、高齢者や子供に変わった。

リーダーの男は優しい表情をした中年の男に変身した。

彼の名はドーンヒューだった。

「私達は魔導士です。国の東部から来ました。最近、バーラーという名の暗黒卿と戦いました。しかし、彼を倒すことはできませんでした。彼の行く先は、生涯奴隷という過酷な運命が待ち構えています。敵はすでに多くの地域を征服しております。誰かが止めない限り奴はいずれこの村にもやってくるでしょう」ドーンヒューが言った。

 暗い噂を聞いていた長老はうなずいた。

「戦いに敗れた後、私達は騎士道放浪霊を追いました。霊達は私達をここへ導き、少年を発見しました。少年の手助けをして彼の恐るべき潜在能力を引き出すことが出来れば、敵とも互角に戦うことができるでしょう」

 ネピードは男が何を言っているのか理解できなかった。

 魔導達は少年を見つめていた。

「乱暴な事をしてごめんなさい。人は命が危ぶまれる時に真の姿が現れるものです。あなたは勇者です。あなたの力が必要です」

魔導士の女のチェリアが少年に言った。

「僕には何の力もないですよ。あなた方に簡単に捕まったじゃないですか」

「それはあなたの力が未熟だからです。私達が協力します。また、誇り高き霊達があなたに力を伝授してくれます」

「?」

「ネピード、この人達は本当の事を言っているんだと思う」マリアが言った。

「ネピード、マリア、家に帰りなさい。また後で話そう」長老が言った。

二人は家路についた。

長老は村人達に何も心配せず家へ帰るように言った。


「暴力が南部で広がっているとの噂を聞いた。わしらも心配しておった」長老が言った。

 少年の村は深い森と高い山々に囲まれた自然の要塞であった。

長い平和の後、悲惨な暴力の時代が到来しようとしているのだった。

 長年の経験から、長老はドーンヒューとグループが正義の側の魔導士達だと推測した。

ドーンヒュー達を村の大きなキャビンへ案内し食べ物と飲み物を提供した。

「ありがとうございます、長老」ドーンヒューが礼を言った。

「数時間ゆっくりした後、丘を越えた所にあるわしの小屋に来て下され」

「分かりました」


ネピードは、生まれながら視界がぼやけていた。時にはトンボと蝶を区別できなかった。障害はむしろ彼をより良い人間にしたのかも知れない。人の弱さを理解し物事を深く考えるようになった。常に弱者の側から考え行動した。

村の中心部の大きな小屋に長老は住んでいた。寛大で本とお酒が大好きだった。

彼の存在とリーダーシップは村にとって欠かせないものだった。

 マリアはネピードの幼馴染だった。静かで優しい性格をしていた。

黒い髪に薄緑の目と青白い肌をしていた。美しく成長しネピードが好きだった。

長老は、少年をとても可愛がった。ネピードは明るく何でも進んで手伝ってくれた。家を立てるのがうまく、ダーツで魚を捕まえ森から果物を取り、冬には薪を作ってくれた。少年に歴史、薬、種の植え方、そして他人への思いやりの哲学を教えた。時には一緒に山々を超え他の村や町を旅した。少年は、旅を楽しみ他の人々や生活様式について多くを学んだ。ネピードは長老を慕い尊敬していた。


 しばらくしてドーンヒュー、チェリア、とリントンが長老の小屋にやって来た。

 ドーンヒューは背が高く博識だった。彼は赤い炎を操った。

チェリアは、彼らが大きな野蛮人に見えるようカモフラージュの術を使った女性だった。彼女は小柄で温かい顔をしていた。白色のドレスを好んで着た。

リントンは大男だった。力持ちでブーメランを持っていた。

平和を愛し食べることが好きだった。

「長老、ネピードのご両親をここへ呼んでいただけますか?」ドーンヒューが聞いた。

「わしも同じことを思っておったよ」

 長老は使いを送った。

少年の両親は長老の小屋へと急いだ。


 ネピードとマリアは川辺に座っていた。

「気分はどう?」マリアが聞いた。

「国のいろんな所で争いが起きているみたいだ。僕は力の限り戦う」

「彼らが倒せなかった相手と、どうやって戦うの?とても怖いわ」

 マリアは少年に寄り添いながら言った。

「僕だって怖いさ」

「青い閃光が上がるのを見たわ。あれは何だったの?未知の力を持っているの?」

「青い 閃光 ?なんの事?僕に凄い力があると思った事は一度も無い。彼らが何を言っているか分からない」

「あの人達は善良だと思うわ。きっと何処かに倒さねばならない悪い人がいるのよ」

「そうかもな。弱く罪の無い人達の側に立って戦うだけだよ」

「そうね」


 三青年がネピードとマリアの側を通った。

少年より年上で体も大きかった。

彼らが弱い者いじめをする時に、ネピードはよく三人と喧嘩した。

リーダーのヘンクスはマリアが好きだった。

普段であれば、三人は少年をからかうか寄って来て喧嘩になりそうな状況であった。

だが、今朝の異常な出来事を受けて彼らは静かに二人から離れて行った。

 ネピードとマリアは三人が通り過ぎるのを見ていた。


 少年の両親が長老の小屋に到着するとドーンヒューが話し始めた。

「いつから青炎の力を持つようになったのですか?」

「青炎?私にはあなたが何を言っているのか分かりません」

少年の母は鎮痛な表情で答えた。

「あなた達が私達を脅していた時に、息子から上がったように見えた青い閃光のことですか?」父が聞いた。

「そうです。我々の行動が彼を限界まで追いつめたのだと思います。彼の勇気と怒りが、宿っていたとてつもないパワーを呼び起こしたのだと思います。我々は色んな所へ旅しましたが、少年の様な勇敢な若者はいませんでした。ネピードこそが先祖から聞いた伝説の若き勇者に違いありません」

 長老と両親は驚きながら聞いていた。

「私は赤い炎を扱うことができます。お見せしましょう」

 赤い炎が魔導士の手の平に現れ小屋を明るく照らした。

皆が驚いた。

ドーンヒューは炎を閉じた。

「私のように赤い炎を使える者は他にもいます。実際に会ったことはないですが、赤炎

より強い紫の炎を操る魔導士もいるそうです」

「ネピードの青炎はどの位置づけになるのかね?」長老が聞いた。

「伝説によると、数百年に一度、魔導士や混血ではなく、青炎を持つ純粋な人間が現れるそうです。青炎は紫の炎よりもはるかに強いと言われています」

ドーンヒューが言った。

「生涯、青炎を見ることは無いと思っていました。とても幸運に思います」

普段はおとなしいリントンも興奮気味に言った。

「息子が伝説ですって?どうしてそんな事が?青い炎だの魔術だの私には何も分かりません」母は困惑し、すすり泣き始めた。

「先祖に何か兆候がありましたか?」

「何も聞いておりません。先祖代々この平和な村で暮らしてきました」父が答えた。

彼は、妻の背中をなでて落ち着かせようとした。

 長老は少年の両親に家へ帰るように勧めた。

二人は間もなく小屋を出た。


「しかし、少年の青炎の力は未熟です。本人は、まだ何も理解していないでしょう。彼のパワーが全開になるよう手伝いたいと思います。チェリア、どう思う?」

「まったく同感です。少年に間違いないでしょう。もう一つ、説得力のある理由があります。一部の騎士道放浪霊が、つい最近この村に到着しました。しかし、別の騎士道霊達は大分前かロッコーの村に滞在しています。彼らは静かに時を待っていたのです。上空に彼らを感じることができます」チェリアが言った。

 ドーンヒュー達は騎士道霊を追えば勇者を探すことができると思っていた。

だが、その勇者が伝説のブルーファイアーを持っているとは想像していなかった。

「騎士道放浪霊とは何なのかね?」長老が聞いた。

「それは、永遠の安住の地に行けずこの世をさ迷っている勇者達の霊です。彼らは専制君主や邪悪な勢力と戦って散って行ったのです」

「その霊達が以前から少年を見つけ村の上空を徘徊していたと言うのかね?」

「その通りです長老。彼らは、少年が悪に対して高貴な戦いをして勝利すると期待してい

ます。自分達が達せ無かった事を少年に託し現世の悪を葬って欲しいのです。霊達は彼らの持つ力を少年に与え安住の地へと向かうでしょう」

「そうじゃったか。これも定めかの?時代が大きく動いている以上、皆で戦うしかあるまい。そのバーラーという輩はなぜ暴力を?」

「彼が幼い頃、母親と妹が人間と魔女達によって命を落としたと聞いております。 復讐をしているのだと思います」ドーンヒューが説明した。

「何と奇怪な!」

「私は、霊を招集し彼らの力を勇者に伝授する能力を継承しております。少年に明朝ここへ来るように伝えてもらえますか?」 チェリアが言った。

「分かった」長老が答えた。


「ママ、ネピードが大丈夫で良かったね」

「そうね。本当によかったわ。力が未熟なだけだったのね。彼は私達だけでなく多くの弱者を守ってくれるでしょう」



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