第12話

「結局みんな何をしたかったのでしょう?」

「さぁねぇ…。耳に入った噂によると、この子の存在をめぐっていろいろな戦いが裏で繰り広げられていたらしいけれど…。そのために君に婚約の機会を与えたり、かと思えばすぐに婚約破棄を突き付けてきたり、一体何がしたかったのだろうねぇ…」


私とお父様は、ルピアを囲いながら静かな口調でそう言葉を発する。

…最近王宮はめまぐるしいスピードで変化をしているらしく、大きなニュースで言えばノラン第一王子様がその立場を失うことになったのだという。


「この前ここに来た王宮の人がいたよな?確か、第一王子様の妹だとかいう…」

「あぁ、ルルナの事ですか?彼女もまたノラン様と一緒に責任を取らされることとなったからか、今はどこにいるのかもわかっていないらしいですが…」

「怖いねぇ。まぁ自分の蒔いた種と言えばそれだけの話なのだが」


兄弟そろって同じ日にすべてを失うことになるだなんて、なかなか聞かない話だと思う。

しかもそのきっかけが私との婚約を一方的に破棄したことから始まっているなんて、なんだか笑ってしまいそうなほど愉快な話。


「まぁいずれにしても、この子がどんな意味を持っているのかが大事になってくるというものなのだろうな。あの国王様がそこまで欲する存在だというのなら、もしかしたら我々も知りえない力があるのかも…」

「みゃぁあぁご」


ただのかわいい動物にしか見えないルピア。

けれど、これからこの子を中心にした大きな動乱が巻き起こることとなることを、さらにそこに聖女である私一緒に意味を持つこととなっていくことを、まだ知る由もないのだった…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

役立たずの追放聖女は、可愛い神聖獣たちになつかれる唯一の存在でした 大舟 @Daisen0926

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ