また、明日会えるかな
みみっく
また、明日会えるかな
進級をして担任も変わった。周りがイケメンだとか騒いでいたが、私は興味がなく普段通りに過ごしていた。
だが、ある日に掃除当番で学校の応接室の清掃に入った時だった。グループの男子がふざけて廊下に転がっていた野球ボールでキャッチボールを応接室で始めた。
はぁ……。どうせ私が注意をしても聞かないんでしょ?注意するだけストレスだし、うるさいヤツだって思われるのも嫌だし、放っておこっと。
そう思っていたら……
トンッ! ……ガシャンッ!!
ボールが私に当たると、近くにあった高そうな大きな花瓶に当たり、落ちて見事に砕け散った。
「おい。それ、お前が割ったんだからな!」
「だな! 最後にボールに触れたのお前だし!」
掃除のグループの男子は小学生の様な言い訳をし、責任を私に押し付けてきた。呆れるよりも私のせいにされ血の気が引き、動転して言い返せずにいた。
職員室も近かったので、花瓶の割れる音や男子が騒いでいたので担任が駆けつけてきた。
「大丈夫か!? 何があったんだ……はぁ……」
担任が応接室に入ってくると心配性な表情から、呆れた表情になり溜息をついた。
「これは俺達じゃなくて、アイツが割ったんだって! 俺達は関係ないからな!」
「俺達は、ここで離れて掃除してたし、アイツが一番花瓶の近くにいるだろ」
私は、まだ動転していて言い返せずにいた。
「掃除をしていた? 掃除道具をもっていないのにか? それに転がってるボールは何だ?二人は指導室に来い」
「はぁ〜ついてないな。面倒いな〜」
私が一言も発すること無く、先生が瞬時に解決をしてくれた。
それからは、お礼が言いたくて機会を伺っていたが……話しかけようとすると女子生徒が集まってきてしまう。
「先生〜遊びに連れてってよ!」
「そんな事、出来るわけ無いだろ」
「え〜現役女子高生と遊べるんだよ〜?」
「お前らと話してると疲れるな」
「なにそれ、ひどーい!」
先生が気になっている自分に気付いた。いつも目で追い女子生徒と何を話をしているのかを聞いていた。
私はテニス部に入っていたので放課後、スペースが空いていた校舎裏の近くで練習を友達としていると、返せず校舎裏へボールが行ってしまった。
ボールを追いかけると、校舎裏の封鎖されている出入り口に先生が俯き疲れた雰囲気で座っていた。声を掛けようかと悩むが、部活の練習中で友達も待っているので諦めた。
翌日も部活の練習中にコッソリと校舎裏に様子を見に行くと、先生を見つけ心がときめいてしまった。
だが、部活の練習中だ……と再度諦めた。
翌日は部活の練習が無い日だ。ドキドキと緊張をしながら放課後に校舎裏へ向かった。
先生は、いつもの雰囲気で同じ場所に座っていた。
「せ、先生……」
「お、何だ? こんな場所に?」
「昨日、部活でボールが転がっちゃって……偶然、先生を見掛けたから。もしかしたら今日もいるのかな?って」
それを聞いた先生が、表情が変わり笑顔で返事を返してくれた。
「なんだ、気にしてくれたのか? 優しいやつだな!」
「え? いえ。花瓶の件でお礼を言いたくて……その機会が無くて……」
先生が考え、思い出したのか笑い出した。
「そんな事か。あんなの状況を見れば分かるだろ」
それからは先生の隣に座り、夢中で二人で楽しく話が出来た。気が付くと日が暮れていた。
「もう、こんな時間か……真っ直ぐ家に帰るんだぞ。お前と話してたら楽しくて時間を忘れちゃったな。それに疲れも吹き飛んだぞ」
そう言われて嬉しくて舞い上がってしまった。だが、サヨナラの挨拶は出来たけど、肝心なことは聞けなかったな。
先生と分かれ帰宅していると走る人の足音が近づいてきた。振り返ると先生だ。
「心配でな。家の近くまで送っていく」
幸せな時間が再び流れ出した。楽しく話が出来た。でも、先生の言った通り……楽しい時間は過ぎるのが早い。
また、聞けずにサヨナラと、お礼だけ言えて肝心なことは言えなかった。
『また、明日会えるかなぁ……?』
また、明日会えるかな みみっく @mimikku666
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