あとがき

 お読みくださいましてありがとうございます。

 また、今月も、同題異話参加作が:


 1. すみません、長くなりました(^^;;;;;;

 2. 途中で時間が跳びました。


 もういつものことです……。


 しかも、今回は、「この話数にはこういう話を書こう」と、物語を書く前に話数を割り振って公開日まで決めてしまい、そのあとでどんどん書き足していく、という方法で書きました。

 その結果。

 一話が長くなりました。

 私は、連載のばあい、だいたい一話が二千字程度以下にするようにいるのですが、今回はそれを超え、最終回は四千字を超えています。

 「何これいつまで経っても終わらないよ?」と思われた方、すみません。



 私は、大学生になったときに、生まれ育った家から東京に引っ越しました。

 私が住んだところは、東京の街中と「郊外」の境のような場所でした。

 まだその地域が「郊外」ですらなく、「近郊の農村」だった時期のおもかげが少しだけ残る場所でした。

 そんななかに、もう人も住んでいないようなひっそりしたお屋敷も、お屋敷の奥のほうで何かパーティーをやっている雰囲気だけが流れてくるお屋敷もあったのです。

 そこが農村だった時期に、農村の有力者だった家のお屋敷だったのでしょう。

 しかし、そこが「近郊の農村」のおもかげを残していたのはバブル期までで、そのあとは普通の住宅地になってしまいました。


 この物語は、東京の(少なくとも二十三区内の)物語ではないですけれども、その、私が東京に住み始めたばかりのころのことを思い出しながら書きました。


 今回は、それほどメジャーでない鍵盤楽器を選ぼうと思い、考えた結果、チェレスタにしました。

 チェレスタが初めて製作されたのは一八八六年ということで、ブラームスの交響曲(最後の第四番が一八八五年)には間に合いませんでした。

 まあ、ブラームスはチェレスタがあっても使わなかったでしょうけど。


 で、チャイコフスキーがヨーロッパでこの楽器のことを知り、絶対にロシアのライバル作曲家にはこの楽器のことを教えないでくれ、と言って購入したそうです。

 それで、そのチェレスタを使って書いたのが、バレエ音楽『くるみ割り人形』の「コンペイトウの踊り」だということです(『くるみ割り人形 第一組曲』にも収録)。

 その『くるみ割り人形』が大当たりして、世界じゅうのオーケストラが演奏することになり、それでチェレスタも世界のオーケストラに広がったとか(ヤマハのホームページ内『楽器解体全書』「チェレスタ誕生ストーリー」より)。


 なお、その前の時代に、「濡らした指でワイングラスの縁をこすって音階を出す」というのをシステム化した「グラスハーモニカ」という楽器があり、モーツァルトなどもこのグラスハーモニカのために曲を書いています。

 ところが、グラスハーモニカは廃れて生産されなくなってしまい、とてもレアな楽器になりました。

 そこで、チェレスタ発明以前にグラスハーモニカのために書かれた曲が、現在ではチェレスタで演奏されることも多くなりました。


 PCのキーボードが古くてカタカタ鳴ってうるさい、というのも考えたのですが、まとまりませんでした。


 ということで、今回の物語はここで終わりです。

 この物語ではミステリアスな描かれかたになっている彼女の側の物語も書こうかと考えたのですが、またそれは別の機会に、ということにしたいと思います。


 それでは、また、お目にかかれれば幸いです。


 清瀬 六朗

 (二〇二四年一〇月一八日)

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秋に鳴らす鍵盤 清瀬 六朗 @r_kiyose

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