概要
頭蓋骨で聴け。
男は自分に無関心であった。それ故過去の自分というものを何も覚えていなかった。ただ正確には、現在の自分にしか関心が無いのであった。その関心について言えば、これは人一倍に強かった。しかしそれは現前する一切の感覚についてであった。そこには最早、男自身というものは存在していなかったが、男は咄嗟に他ならぬ自分の目を覆い隠さなければならないという気に襲われ、見知らぬ恋を悔やみ出すのであった。
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