Festival of Fire フェスティバル オブ ファイヤー

@haa-ta

1話完結

赤く染まる

森も、空も、星も…私も、あなたも…


今日は特別な日

月と太陽が重なり交わる日

神様が生まれ変わる聖なる日


女王様が、お城の一番高い塔の上に現れた


側には、いつものように使い猫のビビが控えている


空を見上げる

私も、女王様も、もちろんビビも…

国中のみんなが空を見上げる…

赤く変色した満月を見上げる…


少しづつ、ゆっくり、だんだんと…緩やかに緩慢に、光が消えていく…

月が穏やかに確実に黒く染まり…

欠けてゆく…


国中のみんなが固唾をのんで、空の一点を凝視する

瞬きすることも忘れて、欠けていく月を見つめ続ける

私も、女王様も、もちろんビビも…

国中のみんなが月を見つめる


遂に、その瞬間が訪れた!

月が、完全に黒く染まった瞬間!

ビビが叫んだ!!小さな体から、よく出るなと誰もが思う大きな声で「ニャァ!!!」と雄叫びをあげた


ビビの声を合図に女王様が魔法を放つ!!

私は「わあぁ!!」と大きな声をあげた

あまりの美しさに、みんなが声をあげた

感嘆の、感動の、歓喜の、大きな雄叫びをみんながあげた!!!


女王様の手のひらから炎の鳥が飛び立っていく…次々に飛び立っていく

太陽と月の代わりに火の鳥が空を清めていく…

今日の特別な日を邪悪に汚されないように、炎の鳥が縦横無尽に空を飛び回る…

邪気は空に、この国に近づけない!!


空が赤に、オレンジに、染まる

空に座する星々は、いつにも増してキラキラ輝く…星たちにとっても今日はハレの日!!


幻想的な光景に私は、声を失った

みんなもただ空を見上げている

国中が空を見上げて、その光景に見入っている…


炎の鳥たちが女王様の手に戻っていく


最後の鳥が戻った時、ビビが優しく鳴いた

鳥たちを労っているみたいに聞こえた


炎の鳥が消えた空に月が輝き始める


女王様は、炎の鳥を一羽、街へ放った


人々が祈りを捧げる

ビビも祈りを捧げる

女王様も月を見上げて祈りを捧げる

炎の鳥が、街を、人々を、清めていく


月は、みるみるうちに

大きく肥え

膨らんでいく


その光景に人々の心も満たされていく


月が完璧に満ちた時、街を飛び回っていた炎の鳥が、天高く舞い上がった!!!

鳥が月と重なった時、鳥がハジけた

大きな音と共に色とりどりの光が人々に降り注ぐ…


女王様が、人々を見渡した…手には、いつの間にか盃を持っている

そして…短く言った

「神様が無事、新たに再生した!!この素晴らしき日に、乾杯!!」

ビビも言った「ニャニャっ!!(かんぱい)」


人々も後に続く…カンパーイ!!!!!

国中に笑顔が溢れる


私は、子供なので甘い果汁のジュースで乾杯♪


今日は特別な日

神様が生まれ変わった日

私たち、子供と動物を除くみんなが赤く染まる日

女王様だって…


私は、そんなみんなを見るのが好き

幸せな顔を見るのが好き


今日は炎が国中を清める日

みんなが幸せになる日

今日は特別な日

今日は火祭りの日

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