最終話 青空
和人さんの語りかけてくれる声が聞こえる…。
私は、必死にその声に応える。
「和人さん、助けて…和人さん!」
「和人さん…和人さん!ありがとう…」
「和人さん…。私どうなるんですか…?」
必死に語りかけたけど通じなかった。
■■■
「母さん!母さん!」
私は、母が亡くなる瞬間を生で見てしまった。
私は、その瞬間心が凍ったような感覚になった。
「ただいま、人命救助を行なっております。運転再開、復旧までしばらくお待ちください」
私は視界が真っ暗になった。
そして、周りがガヤガヤし始めたのが耳で分かった。
「なんだ、急に雪が降ってきたぞ」
「風も強くなってきた!
「吹雪だ」
しばらくするとあたり一面雪で覆われた。
□□□
「じゃあ、冬美をよろしくお願いします」
「分かってるけど、早く帰ってきてね」
それから、私はおばさんの家に預けられた。
そして、月日は流れ病気も悪化の一途をたどった。
もう死にたいずっとそんな気分だった。
でも母の17歳に冬美はいい事が起きるよという言葉を信じて生き続けた。
どんなに寒くても…。
そして、私が心を折れかけていた瞬間本当にいい事が起きた。
「危ないじゃないか!」
私はとある人に命を救われたのだった。
そして、その人は私を愛してくれた。
こんなに幸せな日々はないそう思った。
でも、私はその人に迷惑をかけてはいけないと自分の心の蓋を押さえつけた。
今でも後悔している。
あんなに優しい人の好意を…。
なぜ、私は…。
あの温もりを…。
でも、この瞬間も何故か温もりを感じる。
そして、声も聞こえる。
あの時と同じ声。ずっと聞いていた声。私の大好きな声。
「冬美、冬美!」
「和人さん…」
■■■
はっ!?
ここは、どこ…!?
病院…?
私、生きてるの?
私は病院のベッドに寝ていた。
そして、ベッドの隣の椅子には座りながら寝ている人がいた。
何度も見た顔。
安心する顔。
和人さんだった。
私が、起き上がった音で和人さんは目を覚ました。
「冬美…!冬美!目、覚ましたんだね!」
「はい、和人さんが私に語りかけてくれてた言葉全部聞こえてました」
「冬美、本当に良かった」
和人さんは、私の手を握りながら泣いていた。
「ごめんなさい和人さん私、余命のこと黙ってて」
「ううん、大丈夫」
そう言うと和人さんは私をゆっくりと抱きしめてくれた。
すごく温かかった。
「俺、冬美のおかげで自分の存在意義がわかったんだ。俺は冬美が好きだ」
「私も、和人さんのこと大好きです…」
サーーーーー。
その瞬間、雪雲は一瞬で晴れ、一面青空が広がり太陽が顔を出していた。
そして、心が凍ってる感覚もなくなった。
病院の窓からの景色は澄んだ空気に雲ひとつない青い空。
すごく綺麗な景色だ。
「おかえり、冬美」
「ただいま、和人さん」
青空が見えるようになるまで 一ノ瀬シュウマイ @syuumai5533
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