『今ならもれなく女神がついてきます~一族から追放され元婚約者と駆け落ちした俺。食うためにダンジョンに挑み最強の力を得たまではよかったが、なぜかおまけで女神を押し付けられる~』は、長〜いタイトルと釣り合うぐらい深〜い人間模様と成長の物語が描かれています。
ホルストとエリカの駆け落ちという切羽詰まった状況の中、突如現れる奔放な女神ヴィクトリア。彼女のトラブルメーカーぶりには笑いが絶えませんが、その裏には孤独と純粋さが垣間見えます。一族の束縛からの脱却、新たな生活の不安、そして神属性魔法がもたらす未知の力――これらが複雑に絡み合いながら、物語は軽妙なテンポで進んでいきます。
二人がヴィクトリアを通じて「自由」とは何かを模索する姿に、読む者もまた、自分の人生を照らし合わせずにはいられません。
劣等生だった主人公が追放されたり女神との出会いで最強への道を征くことになったり、という王道路線から入るので、なろう系やおれつええ系が好きな人に刺さる作品だと思います。
感情移入しやすい癖の少ない主人公だけでなく、恋に一途な元許嫁の奥さん、残念ヒロイン枠の女神など登場人物は多種多様。
必ず推せるキャラクターが見つかるはずです。
情景描写と心情描写のバランスが取れていて、すらすらと読めます。
話数の多さに驚かれる方もいるかもしれませんが、気づけば最後のページまで辿り着いていることでしょう。
タイトルやあらすじに惹かれた方は読まないと損をするお話です。