第14話

「今回の作戦で、お前の〝子供達〟もいよいよ初陣か?」



キムは声を潜めてそう聞いた。



「まさか。まだ軍はこの子たちを隠したがってるよ。まだまだ不安定なんだ、存命や強化に成功しても記憶に障害が残ってしまう…。」



ぶつぶつと仮説や議論を始めそうになったユリウスの肩をたたき、キムは笑った。



「焦るな。お前のことだ、どうせいつの間にかサラッと成功させる。」



「はいはい、期待に応えられるように精進します、と。ところで、どうだい、その珈琲?」



「美味いな。」



淡々とつぶやかれたそれに、ユリウスは嬉しそうに笑った。



「ノアが淹れてくれたんだ。いつか、彼女に味覚を贈りたい。」



「出来るのか。」



「さあ?今出来ないから楽しみなんじゃないか。」



ユリウスの研究者らしいその言葉に、キムはふっと息を吐くように笑った。



改造人間サイボーグは本物じゃあないけれど、きっと偽物でもないんだよ。」



「キム、ノアがこれを私にって!」



キラキラした話声が聞こえて来たかと思えば、クレアはそう言って嬉しそうにキムに駆け寄る。



キムに見せた掌には、耳飾りがあった。



空色をしていて、クレアの瞳によく合いそうな、小ぶりな耳飾りだ。



「ああ、綺麗だ。きっとお前に似合う。」



「ふふ、ノアの見立ては完璧だもの。また見せにこなくちゃ。」



その耳飾りを大切そうに胸に抱きしめて、クレアは頬を染める。



キムはその頬に右手を寄せながら、つられるように目を細めて笑った。

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鏡の国 @2housenka

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