第13話

「あ、終わったみたいだね。」



基地に集まっていた軍人たちは足早に己の持ち場に散っていく。



今日は交代制で夜間警備をしながら、明日を待つらしい。



いつもより拘束時間が短いのは、休息をとれというせめてもの心遣いだろう。



「さて、そろそろ来るだろうね。ノア、珈琲と牛乳を。ああ、それと冷蔵庫にあるお菓子もね。料理も温めようか。」



「お野菜もしっかり取ってください。」



「…君は本当に人間らしくなったねえ。」



耳が痛いその言葉を口笛で適当に流す。



ノアが口を開けようとしたその時、ギリギリと古い扉が音を立てた。



「やあ、来たね。」



「邪魔するぞ。」



「ユリウス、久しぶりね!」



一気に声の数が増え、部屋が賑やかになった。



現れたのは、キム・ホワード中佐とその部隊に配属されているクレア・ドラクロワ軍曹。



キムは無表情のまま軽く手を上げ、クレアは軍人らしく敬礼で挨拶をした後は、リラックスしたように満面の笑顔を見せてくれた。



「前日なのに悪いねぇ。」



「あら、全く悪びれているようには見えないわ。」



「本心は君たちを独り占めできて嬉しいんだよ。」



ユリウスはクレアに向かって、どうぞとお菓子を勧める。



「ノア、元気にしてた?」



「相変わらずです。」



ノアに話しかけにいく彼女を見送って、ユリウスはキムに珈琲を手渡した。

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