第39話 新たなる魔の手

 「ウグガァァァァァァァァァァァァ!!?」


 カケルの一撃を受けた柴田勝家は後ろに後退し、その場で両膝をついた。

 そして・・・


 「ウ、ガ、ワレ、ハァァァ・・・シ、バタ・・・カツイテ、ナ・・・リィィィ・・・」

 「消えてゆく・・・」


 カケルとダイの元に来た砕蔵は両膝から砂になってっている宿敵を見てそう呟いた。

 その後、仮面の女も合流した四人は完全に柴田勝家が消えるまでの間、泣いているようにも聞こえる男の名乗りを聞きながらそれを眺めていた。


 「姫・・・あの時の無念今晴らしましたぞ・・・」

 「・・・ところでよ、、ダイお前いつから地面の中にいたんだよ」

 「あ?そりゃずっとに決まってんだろ。俺が一番カッコよく登場する瞬間をジッと待ち続けていたんだよ」

 「あら早く助けに来いよこのボケナスがぁ!!!」

 「ぐはっ!!?何しやがんだこのバカ!!!」


 二人が喧嘩をし始めた時、砕蔵はふと仮面の女がいない事に気がつき辺りを見渡した。しかしその姿は何処にもなかった。


 「あ!そう言えばあの女から依頼主聞き出すの忘れてた!!?あいつ何処行った!?」

 「ん?先程から拙者も探してあるが一向に見つからんのだ」

 「あんなクソがぁぁぁ!どうしてくれるんだよ俺達の金!!!」


 カケルは辺りを走り回りながら仮面の女を探した。しかし姿は結局見つからず、泣く泣くカケルは諦めた。


 「んで、お前はどうすんだよ?」

 「拙者のことか?」

 「そうだよ。お前以外誰がいんだよ」

 「ならば一つだけ教えて欲しい。・・・拙者はもう死んであるんだな」


 砕蔵の問い掛けに二人は沈黙で答えた。砕蔵は少し俯き、そうか、と呟きた。

 そして顔を上げ、これから自分がやることを二人に話した。


 「拙者は・・・しばし旅に出ようと思う。拙者がいた時代とは大分変わっておるからな。・・・それにもしかしたら姫も何処かで拙者のように生き返っておるかもしれぬしな」

 「・・・ん。そっか」


 その後、三人は大事になる前にズラかろうと病院を出るため瓦礫の山を歩きた。

 そしてようやく瓦礫の山から出られると言うところで事件は起こった。


 「動くな!!!」

 「「「え?」」」


 複数の警官がいつの間にか三人を囲んで拳銃を構えていた。三人が困惑していると見知った顔が現れた。


 「ふぅー。カケル・・・」

 「?、何だよ九条じゃねーか。驚かせんなよー。何だこれ何の冗談だよ!」


 カケルはいつものように軽い調子で九条に近づいていった。その姿を見た警官は拳銃で発砲しようとしたがそれを九条が止め、九条もゆっくりとカケルに近づいていった。


 「で何でお前いんの?」

 「ふぅー。すまん・・・逮捕だ」

 「え?」


 ガチャリと言う音と共にカケルの両手に手錠がかけられた。カケルは眼を丸くしてその手錠を見て九条に声をかけようとしたが直ぐに他の警官達にカケルは捕らえられてしまった。


 「連行しろ」

 「は!」

 「あ、おい!九条!?これどうゆう事だよ!おーい!九条ょー!」


 九条の命令により動いた警官達にカケルはそのまま連行されて行ってしまった。

 その姿を見ていたダイは少し怒りのこもった声で九条に話しかけた。


 「・・・どうゆうつもりだ九条?」

 「すまないが言うわけにはいかない」

 「よし!あとはあいつだけだ!行け!」


 数名の警官が残された二人に目掛けて走ろうとした時、九条がそれを静止させた。


 「やめておけアイツは下手したらカケル以上に厄介だ。その気になればお前達を平気で殺すぞ」

 「うっ、」

 

 九条の言葉を聞き、ダイの方を見た警官達は恐ろしくなったのか一歩引き下がった。

 それを見ていたダイは後ろを振り返り砕蔵に声をかけた。


 「おい」

 「な、何だ?」

 「お前だけでも逃げとけ」

 「は?」

 「だからとっととお前だけでも逃げろって言ってんだよ!」


 ダイの気迫に押され砕蔵は直ぐに土遁を使い地面に潜った。潜る最中、砕蔵が最後に見たのは九条によって気絶させられたダイの姿だった。


 ーー


 『これについてお前はどう弁明する?』


 巨大な研究所に冷徹な声が響き渡る。トサカ頭の男はその声に背筋を凍らせ、冷や汗を掻きながらも必死に弁解していた。


 「こ、こ、こ、これにはわけがありまして!まさかこ、こんな事になるとは思わず・・・」

 『俺に報告もなく実験体を放ち自身のミスを隠しとうそうとした事がか?』


 ぞくり、とトサカ頭の男の背筋が冷えた。


 「ま、誠に、誠に申し訳ございません!!!」

 『更にはその英雄を暴走させた挙句、あそこまでの被害をだして失ったと』

 「し、しかし!ま、まさか消えるとは・・・。奴ら英雄には魂を消滅させぬ限り動き続ける無敵の力と不死身の肉体を与えた筈・・・」

 『その結果がこれか?』


 男の冷徹な声と共に研究所の巨大モニターにはあるニュースが映し出された。それはカケル達と柴田勝家が戦った事によって崩壊した病院と何人もの怪我人の姿だった。


 『ここまでの被害を出して成果はゼロとはな』

 「も、申し訳・・・ございません・・・」

 『まぁいい・・・お前にはまだやって貰わなければいけない事があるからな。もう時期、計画を始動させる。そこで挽回しろ』

 

 そこで映像は消え、トサカ頭の男は机を叩きつけながら、自分にここまでの惨めな思いをさせた四人の顔を映像に映し出し復讐を誓うのだった。

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超常はびこるこの世界をただの?身体強化で生きていく〜異能力、魔法、怪異、陰陽師、神魔、全て力で捩じ伏せる!〜 kkk @koikekensirou66

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