前世は騎士団団長、今世は一般人。今世で過ごしていたらダンジョンのある現代だったから焼肉パーティーをしていたら騎士団の団員達が私を見つけて絡んできたので鉄板に顔を押し付けて焼いた
@reesya
短編
「焼肉!焼肉!ふう!ふう!ふうー!」
テンション爆上がり中。
今日は3ヶ月に一度の焼肉の日。
お気に入りの自宅用プレートでちょっとお高めのお肉を乗せる。
ジュワッと鳴って耳が幸せ。
これだけで白飯がいける。
自分は他人よりかなり食に拘るタイプだ。
美味しいものに目がない。
最近はダンジョンから取れるAランクの牛と謙遜がないミノタウロスと呼ばれる魔物が気になっている。
近々行こうかと計画中だ。
「お肉ちゃん。会いたかったー」
ハートを飛ばしながらうっとりした顔でお肉を箸で取る。
こだわり抜いたダシにつけていざ、極楽へーー。
「団長!漸く会えました!」
その言葉を皮切りに私の心は無になった。
ーーガッ
隣に突然現れた男の頭を鷲掴み、そのままあつあつのプレートに叩きつけた。
「ぎゃ!?」
なにか焼ける音が聞こえるが私は数秒後に現れた人達にその男が助け出されるまで心がこちらに戻ることはなかった。
「………どちら様ですか?」
「そ、そんな、団ちょ」
ーーゴン!
テーブルを強めに叩いて威嚇する。
「どなたか、と私は聞いているんですよ」
「わ、私はポテトチップです。も、勿論、知ってるんですよね!?」
ポテトチップかあ。
黒歴史がずらずらとまあ、追いかけてきたもんだわ。
「わ、私は!ウマイバーです!」
「カレーライスっすよ団長。知ってるのに酷いっす」
酷いのは私の名付け方だから黙ってマジで。
「それにしても、サツマイモ。お前顔、大丈夫か?」
サツマイモが焼きサツマイモになっていたらしい。
「平気だ。悪いのは私なのだ。きっと、いきなり不躾にも押しかけた私がなにか粗相をやらかしたのだ」
言葉だけは本当に立派なんだよなあ。
彼らがここにきたのは心当たりがある。
前世は天界というこことは違う世界の騎士団の団長だったのだが、ご飯が不味いのに耐えられなくて疲労した。
その結果この世界に生まれてご飯が美味しいことに感動した。
天界は卵で生まれて、親とか居ないんだけど、孵すのは大人の義務。
丁寧に世話をしたらビビるくらい懐かれて同じ騎士団に入ると言って聞かなかった。
名前も食べ物が恋しくてつけてしまった。
誰かにバレたら国宝級の顔面の人につけたとタコ殴りにされるかもしれない。
「あと、ガパオライスとタンタンメンも居ますから、連れてきます」
つ、連れてこんでいい!
目の前で料理名を言い合うなんて、前世どれだけ食べたいのに存在しなかった苦しみを味わったか。
安易に食べ物の名前をつけた自分を恨んだ。
「必要ない。用事はなんですか?」
「そ、それは。また共にいて欲しいと」
「私はもう役目を終えました。貴方達はどうしているのですか?」
「我々も役目を終えて今は有給消化中なのでわき目も振らず来てしまいました」
「そうですか。ですが、今は焼肉を食べるので対応出来ません」
「そういえば、この世のものとは思えないほど香ばしいものがありますね」
「焼肉です」
「や、焼肉!もしやあのヤキニクの元となった?」
ヤキニクは前世で英雄扱いされている人だ。
みんながうっとりとヤキニクの名前を呟いたりする度に私は焼肉を食べたくなって落ち込んだものよ。
団長、と望む声が聞こえると全員が焼肉を見ていた。
ふむ、仕方ないので再会の記念に一人一切れをあげて、そのおいしさに混乱していた。
宇宙を漂っている顔をしていて、見ていて自慢に思う。
「う、うまい!?」
「美味すぎるぞお!」
涙を流すものも居る。
焼肉のおいしさに感動して、もっと食べたいというのでダンジョンで取ってくればとアドバイスしておいた。
後日、ホクホク顔でミノタウロスを担ぐ、顔が凄く良い男達にワイドショーが騒いで軽くパニックになる。
Live中継で私もカップラーメンコンソメ味を食べながら麦茶をコップに注いで眺めていた。
「ミノタウロスは難易度高いけど騎士にとっては朝飯前だよね」
麺を啜って最後まで美味しくいただく。
「団長!それはなんという食べ物ですか?私もぜひ御伴侶に預かりたく思います」
団員のアオノリが尊敬の眼差しで見ていたので予備としてあるカップラーメン【焼きそば】をあげる。
中継のその後は私のうちに持ってきて皆で焼肉パーティーをした。
前世は騎士団団長、今世は一般人。今世で過ごしていたらダンジョンのある現代だったから焼肉パーティーをしていたら騎士団の団員達が私を見つけて絡んできたので鉄板に顔を押し付けて焼いた @reesya
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます