#3
8月23日 昼前。
麗美の家から実家まで電車で30分。
流れる景色とPОPな音楽を聴きながら電車に揺られる。
家族や友達と連絡は取り合っていたが、地元の帰るのは2年ぐらいぶりだ。
「五日市駅~ 五日市駅~」
「今駅に着いたよ。お昼食べたら行くねー。」
母にLINEを入れ、昼食の店を探す。
「この辺なんかあったかなぁ......。あ!あそこの喫茶店まだあるんだ!」
駅から左に曲がって真っ直ぐ行った先の分かれ道の右へ行くと見える『喫茶ポピー』
麗美が子供の頃から有り、中学の頃には待ち合わせやサンドイッチ食べながら無駄話したり青春の場所だ。
重いキャリーケースを引きながら喫茶店に向かい、入る。
店内はお昼時というのもあって賑わっている。
席に着き、メニュー表にサッと目を通す。
「サンドイッチよく食べてたっけ。変わらず残ってるメニューあるの嬉しい」
メニューを見ながら微笑む。
「でも、パンは朝食べてきちゃったんだよなぁ......。オムライスにしよ!」
オムライスを注文する。
「おまたせしました〜。オムライスです」
チキンライスにふんわり卵、その上にケチャップがかかった王道のオムライスだ。
一口頬張る。
「んー おいひいい」
「はぁ......ごちそうさまでした」
お腹がいっぱいになった幸せを噛みしめて店を出る。
「さて、実家に向かいますか」
日傘をさしているとはいえ、店を出れば灼熱地獄。
温度差に参りそうになりながら実家まで歩く。
タクシー使えばよかったと後悔するが、そんなに遠く無いしと歩くことにした。
「はぁ.....着いた......」
ピンポーン
インターフォンを鳴らす。
ガチャッ
「なんだ お姉ちゃんか」
「なんだとはなによ!」
ドアを開けたのは妹の絵美だ。
「ただいまー」
「麗美おかえりー」
「お父さんは仕事?」
「うん 麗美が帰って来るって言ったら、俺も早く帰んなきゃって。今日は帰り早いかもよ?」
「それに、今日の晩ごはんはお姉ちゃんの好きなカレーだよ」
「やった!」
万歳して無邪気に喜ぶ。
「2階に荷物置いてくる」
「あんたが帰ってくるってんで、掃除しといたわよ」
「ありがと!」
2年空けた部屋。母が掃除してくれたおかげでピカピカだ。
荷物を部屋の片隅に置く。
「久しぶりに帰ってきたんだし、今日はゆっくりしようかな」
ふと本棚に入っている卒業アルバムに目が行く。
手を伸ばした瞬間 「お姉ちゃーん おやつだってー」
「うーん 今行くー。アルバム見るの後でいいか」
1階に降りていくと、ドーナッツ店の大きな箱がテーブルに置いてある。
「10個入りの買っちゃった。いっぱい食べてねー」
チョコ、イチゴチョコ、モチモチ生地 様々なドーナッツが並んでいる。
テレビを観ながら、ドーナッツを頬張る。
「お父さんの分も残しておくのよ〜」
「うん」
「てか、お姉ちゃん何で今帰ってきたの?」
「ん...ちょっとね」
「ちょっとねって」
「さ が し も の」
「探し物?」
ドーナッツ食べて、妹とゲームして、気付けば夜の6時になっていた。
「そろそろ晩ごはんの準備しようかしら」
「私手伝うよ」
「ありがと 麗美」
カレー作りが進む中......。
「ただいま!」
「お父さんおかえりー」
「おー麗美もおかえりー」
「うん!ただいま」
「お 今夜はカレーか」
「麗美が帰ってくるっていうから」
「カレー好きだもんなぁ」
カレーの香りが台所からリビング、廊下まで広がる。
「お腹空いたー」
2階から絵美が降りてきた。
「もう出来るわよ〜」
カレーをご飯に盛り付け、机に運ぶ。
「いただきまーす!」
2年振りに帰ってきた麗美。
仕事を辞めた事、急に帰ってきた事、色々話した。
食事を終え、まったりとした時間が流れる。
「そろそろお風呂入ろっと」
「はぁー サッパリした」
1人、部屋の机で突っ伏していると、再びアルバムに目が行く。
手に取り、パラッと開けば、懐かしい思い出達に微笑む。
「懐かしい......。みんな今どうしてんだろ。友達3人にはたまに連絡してるんだけど。去年の同窓会も仕事で行けなかったし」
「あれ?......君?」
「麗美さん!こんな所で......」
真夏のタイムマシーン @mai_san
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