#2

8月22日。

 あれから2日が経った。

 確かにあの男の子と会ったはず。昨日もずっと考えていた。

 なのに思い出せなかった。

 いや、指輪を拾ってくれただけなのだから、ハッキリ思い出せなくて当たり前だろうと忘れようとしたけど、どうも自分の中につっかえていてモヤモヤしたままだった。

 「あっ 卒業アルバムを見れば!今暇だし、久しぶりに実家帰ろうかな。今日は準備して、明日行こう。お母さんに連絡しとこ」

 LINEを開く。

 

 明日実家帰るねー。

 母 「わかったー。晩ごはんはいるの?」

 食べる!お昼は食べてくるから大丈夫だよー。

 母 「了解でーす。」


 「連絡済ませたし、準備しよ」

 キャリーケースに着替えやらお泊りセットやら詰め込む。

 「よし!準備完了」

 準備を終え、残りの時間をいつも通り過ごし、眠りについた。

 

 

 そう...麗美さ...ボクは...よろし......



 8月23日。

 

 ミーンミンミンミーン

 

 アラームより早く、近くの木に留まったセミに起こされた。

 「ん 朝......。」

 ゆっくりベッドから出る。

 朝食はベーコンエッグにブラックペッパーを少々トッピングしたトースト。

 一口かじればサクッと良い音がする。出来立ての熱さにハフハフしながら

 「そういえば、またあの男の子がでてきたな。私の名前を知ってる?指輪を拾ってくれた時以外で会話したことあったっけ?いいや!もうすぐ実家に帰るんだから」

 

 「よし 荷物の確認もしたし、そろそろ行こう」


 ガチャッ


 玄関を開けると全身に熱風が当たる。

 ボンッと日傘を開き、駅へ。

 ひと夏のさがしものを探しに。

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