真夏のタイムマシーン

@mai_san

#1

8月20日 真夏の夕方。

  気付けば机の下、頭を突っ込んで尻は突き出し、片手には空の缶ビール。

  何かを探していた気がするが、酔いも相俟ってそのまま疲れて眠ってしまったようだ。

 窓からのオレンジの光に気づく。

 「夕方......」 時計を見る。「げっ もう5時半」

 「はぁ 何時間寝てた?喉乾いた お茶でも飲むか」

 酔いで頭がグルグルしている中、冷蔵庫を開ける。

 目覚めてすぐの目には冷蔵庫の明かりが眩しい。

 ピッチャーを取り出し、コップにゆっくりお茶を注ぐ。

 一口飲み込んで 「そういえば私、何探してたんだっけ」


 


 立木麗美 16の夏。

 夏休み前の学校 休憩時間にて。

 手を洗って、ポケットからハンカチを取り出した瞬間、一緒に入っていた指輪が落ちた。

 友達とお揃いで買った指輪だ。

 転がった指輪は誰かの足元に当たって止まった。

 「指輪 君の?」

 「うん ありがとう」と言うと、彼はハニかんで去っていった。

 「見覚え無いから別のクラスの子か」

 こういうのって少しでもトキメくのかと思った 普通だった 凄く普通だった。

 

 あの頃の記憶が混ざった夢。

 でも、彼の顔はハッキリ見えなかった......。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

真夏のタイムマシーン @mai_san

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る