第40話 帰郷したアウレリャノ・ブエンディア大佐は、身辺に何人も寄せつけない
203ページまで読んだ。
アウレリャノ・ブエンディア大佐がマコンドに帰ってきた。母親のウルスラでさえその変わりように驚くほど様変わりして。
大変な暑さなのに毛布にくるまり、連れ帰った三人の情婦に住まわせた家にハンモックを吊って一日の大半をそこで過ごした。ゆくさきざきで幕僚に自分しか入れない三メートルの輪を描かせ、その真ん中に立って命令を発するのだ。
長引く戦争はアウレリャノ・ブエンディア大佐を冷酷な軍人に変えてしまっていた。後を託されたモンカダ将軍の未亡人の家を焼き払ったり、政敵となった同じ反乱軍の将軍を部下に指示して暗殺したりした。
絶大な権力が大佐に集中し、それに伴う孤独の中で、彼は進むべき道を見失いはじめていた。占領した町々で歓呼して迎えるが、恐らく敵にも同じことをするにちがいない民衆にうとましさを感じた。
「死こそ最良の友、さ」
不安に疲れ、堂々めぐりの戦いに飽いていた。予感にも見放された彼はマコンドに最後の居場所を求めたのだ。
☆
この本のタイトルは『百年の孤独』なのに、なかなか孤独な人が出てこない。ブエンディア家に関係する人は大なり小なり人間関係の断絶に直面しているが、孤独だという描写はなかったように思う。それが前回と今回のくだりでは、ヘリネルドやアマランタ、そしてアウレリャノまでが孤独であるとはっきり書かれている。やっと『百年の孤独』らしくなってきた。
「百年の孤独」日記 藤光 @gigan_280614
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