第5話

列車は神聖帝国領、商業都市エスターフォードに到着した。


ザルム達は列車から早々に降りて、足早に駅構内を進むとターミナルを出てすぐの場所に手配していた車両に乗り込んだ。


ザルムの見立て通り、乗って来た列車を警察が囲み、乗客は検査のため降車を制限されたらしい。


「小さい方、各1枚で納得しました。」


ベロニカは後部座席から助手席のザルムへ、見た目より重さのありそうな小袋を渡した。

中身は3から20グラムのゴールドバーが入っている。


「そうか、随分控えめない奴らだな。」


ザルムは受け取った袋を、中身を改める事なくポケットにしまった。


ベロニカの横では、皇弟カヴァリールが窓の外を眺めている。


「ここからどのぐらいだ。」


カヴァリールは視線を景色に向けたまま問いかけた。


「1時間ほどで森林地帯に入る。その後は徒歩で30分といったところだろうな。」


カヴァリールはそうか、と言って、それきりだった。


静かな車内。道路にタイヤが擦れる音だけが響く。

車は都市部を抜けて郊外を北へと進んでいく。

平原だった景色に木々が現れ始め、辺りは次第に林から森へと変わっていった。


森が深くなった辺りで脇道に入り、ひたすら道なりに進む。

やがて石積み造りの壁が現れるある。

見上げると壁に沿って階段が設けられ、その上に教会と思しき建物がある。


ザルムの車を止めさせ、2日後に来るように指示して送り出した。


ベロニカは教会を見上げて尋ねる。

「ここが入り口ですか。」


「いや、入り口は森の奥にある。最後に来たのは20年近く前だ。流石に俺だけでは分からない。案内を頼む。」


そう言ってザルムは階段を登り始めた。


教会の中に入ると、街中にいるような老爺が一人、椅子に座っていた。

掲げるように持った本に目を向けたまま、ザルム達に告げる。


「見学はご自由に、ご案内が必要ならお声がけください。」


「案内を頼む。テム•ニルの入り口までだ。」


老爺は訝しむ目つきで顔を上げた。そして。


「お前、あの時のイトワシか。」


老爺は片手を後ろに回して身構える。

あの時と言われても、ザルムは目の前の老爺に会った記憶がない。

しかし一度ここを訪れた事はあるし、その時は確かに恨まれるような事をした。


「だと思うが、生憎俺はお前を覚えていない。今回は公国の使節で来ている。妙なことを思わない方がいい。」


ザルムは皇帝の署名入りの書面と、もう一枚。老爺に突き出して見せる。

老爺は二つの書面を見比べて、苦い顔をすると、渋々案内を引き受けた。


一同が教会を出る時、ザルムがベロニカに囁く。


「道を覚えておくといい。帰りはおそらく貴女一人だ。」



道とは言い難い森の中を進んでいく。

足を取られそうなほどに絡み合った木の根を跨ぎ、沢の脇に茂った苔の上を滑るように歩くこともあった。


1時間弱歩いた頃。岩石が折り重なった場所に着いた。


「ここだ。」

老爺は岩石の間を指さす。

指し示す先には、中に通ずる道があるようだ。

一見分からないが、岩が重なり合って階段のようになっている。


「後は問題ない。助かった。」


ザルムは24金製の硬貨を3枚差し出した。

しかし老爺は鼻を鳴らして踵を返した。


「イトワシの施しなんぞのうけるか。帰りは自分たちで何とかするんだな。」


ベロニカは老人の背を見送り、ザルムを見やる。


「随分嫌われているのですね。」


「当然だろう。何せイトワシだからな。殿下の同行がなければこうはいかなかっただろう。」


ザルムはカヴァリールに黙礼する。

カヴァリールは僅かに口端を上げて頷くだけだった。



洞窟の中を進むに連れて、自然のままだった足元は石畳へと代わっていく。

どうやら近くに水脈があるらしく、周囲からは轟音にも似た水の音が響いている。


足元がまるで市街地の一角のように、整えられた石畳みとなって暫くのこと、目の前に開け放たれたままの岩盤製の扉が現れた。

洞窟の中とは思えない大きさの扉に、ベロニカは息を飲んだ。

カヴァリールも同様に、感嘆の声を漏らして扉とその周囲を眺めた。

そんな二人に対して、ザルムは足早に扉を潜ってしまう。

ベロニカとカヴァリールは慌てて後を追うが、その直後、またしても目の前の光景に圧倒させられる。


一同の目の前には、幅は200メート、高さは50メートルほどだろうか、セノーテ状の竪穴空間が広がっていた。

竪穴の底は湖になっていて、頭上に空いた穴から射し込む太陽の光が湖の深部まで照らしている。

そして水のカーテンさながら、川の水が滝状に降り注ぎ、地底でありながら竪穴の中の空気は清らかだ。


竪穴の壁面に沿って、岩壁を切り出して作り上げた廻廊があり、ザルム達がいる場所から螺旋と蛇行を繰り返しながら深部へと連なっている。

回廊沿いの壁は、彫刻のように柱が掘り抜かれ、さながら古代都市を壁にはめ込んだようだ。

柱の奥には住居や集落を構成する施設があり、迷路状に通路で繋がっている。


そして湖の中央には、切り出された石を敷いて作ったであろう、円形の浮島がある。

その浮島から続く道の先に、やはり壁をくり抜いて造られた神殿がある。


ザルム達が目指すのはこの神殿だ。

そのためには、まず浮島へ辿り着かなくてはならない。


律儀に回廊を進んでもいいが、回廊の対岸を繋ぐ橋を経由して行った方が早い。

石造りの堅牢な回廊に対して、縄を渡して木板で足場を作っただけの心許ない橋を経由して、下方まで向かうことにした。


当然住人たちとすれ違う事もあるが、行き交う人々はザルム達を訝しみ、声を潜めて囁き合いながらも、すんなりと道を譲り危害を加える様子はない。


「皆貴方を敬遠しているようだ。」

ベロニカが周囲を眺めながら言った。


「今日は来客があると、族長達から言われていたんだろう。どうせ物珍しく思っているだけだ。」


教会の老人といい、アンシャールの民といい、

確実にザルムを警戒している。証拠に、ただ端へ避けるだけではなく、物陰に退く者も居れば子供を背後に隠す者まで居る。

彼らの言葉は分からないが、囁かれる言葉は決して肯定的なものではない事は察しがつく。


そうして広場に降り立つと、見計らったように神殿の扉が開いた。


中から眼鏡を掛けた勤勉そうな青年が現れ、神殿の階段を降りてザルム達の前にやってくる。

青年は腕を持ち上げ、胸の高さで指先を重ねて合わせると恭しく頭を下げた。

ザルムもそれに倣い、ベロニカ、カヴァリールも続いた。


「私はエン家眷属の並びの者、今はギ家キ家に仕え、アンシャールの取り仕切りの助けをしております。」


「エン家……。エンの血は絶えたか……。」


すると青年は首を振る。


「いいえ、健在です。しかしその位置は低く、イトワシと大差無く。」


「イトワシと変わらず……、それは生き難いだろう……。」


青年は頷き、声を抑えてザルムに囁きかける。


「ええ。しかし我が宗家の痛みと屈辱、貴方様ならお分かりでしょう。そして宗家家長の罪の真意を知るのも貴方様のみ。さぞお辛いことでしょう。」


そして青年は己の目を指さす。彼の目は他のアンシャールと同様晴天の空の色だ。


「それは星神のものでしょう。無くされた理由がおありのはず。」


ザルムは赤い瞳を手で覆う。


「約束を守るための対価だ。」

「貴方様の忠義には私の奉公など足下にも及ばない。貴方様の宗家家長への働きに畏敬致します。例えアンシャールの皆が敬遠しようとも。」


そして青年は踵を返して、着いてくるよう促した。


神殿の中はまるで、公国の教会さながら、

頭上に暗闇が広がる程に高い天井と、横幅は5メートル程の広さがある。

その廊下を100メートルほど歩いたところが謁見の間だ。

その傍に更に地下へ続く階段があり、ここを進むとザルムが良く知る場所へと出る。


青年の先導で謁見の間に足を踏み入れる。

円形の空間を、暗くて見えないほど高い天井から、ザルム達の頭上すれすれまで吊るし降ろされたランプの輪が照らす。

入り口の正面の階段の上、石の玉座に座る年若い娘、それがアンシャールの族長三家の一つギ家の家長、アースタルテ-ギ-アンシャールだ。


その傍には20代半かぐらいに見える、皇弟と同年代と思しき男が立っている。おそらく族長三家のキ家の者だろう。

男はザルムを見るなり怨みの困った声音で捲し立てる。


「貴様、公国の使者というからまさかと思ったが、よくもぬけぬけと戻ってきたな。まずは貴様の審判が先だ。かつてエン家の女と共に、我が一族とギ家の長を殺めた事、忘れたわけではないだろう。」


ザルムは真っ直ぐに男を見て、淡々と告げる。


「お前が俺をどう処分したいのかは知らないが、そう急くな。公国とアンシャール、盟約を契った暁には俺が持つ至高種の力、アンシャールが好きに使え。そのために皇帝は俺をここ寄越したんだ。」


ザルムの言葉に男は鼻で笑った。


「盟約を交わせば貴様を裁けるか。だがその盟約は不審しかない。何故ギ家との婚姻が絡むのだ。我らを公国配下に組み込むための愚策だろう。」


これにはベロニカが答えた。


「おっしゃる通り、公国君主の血筋にアンシャール族長の流れを取り込む事が目的です。」


再び罵倒しようとするギ家の者を制して、ベロニカは続ける。


「何故なら、アンシャールに危機が迫った時、いかなる場合でも公国がアンシャールを支援するためです。

アンシャールが強力な星を有していようとも、いずれは星をも凌駕する武器が造られるでしょう。

この盟約を結ぶことで、公国はアンシャールの耳目となり、脅威を事前に退ける手脚となる。そういう提案をしているのです。」


ベロニカの言葉に答えたのはギ家の長、アースタルテだ。


「その話、確かに頷けます。我々の未来を思えば、この度の盟約を取り交わす価値は有りましょう。しかしその話し、一つ疑念があります。」


「どのような。」

ベロニカが間髪入れずに問う。

アースタルテは一拍置いて、苛立ちも恐れも無く、冷静に告げる


「公国こそが我らの脅威となり得るということです。」


「何故そう思われますか。」


「我々を支援することで、あなた方にとっての利点は何ですか。」


「確かにご納得頂けないのも仕方ありませんね。そうですね……。」


一見答えを思案している風だが、ベロニカは答えに困っている。

やはりベロニカは皇帝からの指示しか聞いていないのだろ。だから、この件がナーディエルの策である事は察しがついても、その真意を知らず、己の解釈で答えて良いのかも分からないようだ。


ならば、ここからはザルムが代弁せねばなるまい。


「もちろん、公国としても要求はある。一つはアンシャールの星憑きの力を借りる事だ。しかしこれは双方の同意によって成立する。ここテム・ニルを離れる気のない者に無理強いはしない。二つ目は、イトワシを一人公国に連れて行きたい。以上だ。」


つまり、ザルムをアンシャールへ返そうと、公国の要求によって公国勢力に組み入れることができるということだ。

それでは公国がアンシャールの脅威とならない証明にはなっていない。むしろネズミを招き入れたようなものだ。

何より公国との同盟関係が、何時とも知れない脅威の抑止力として有益なのかも定かではない。


つまり現状として、同盟を締結したところでアンシャールにとって特な事は無いに等しい。


だが、この機会を利用しない手はないことも確かだ。


アースタルテは静かに頷いた。


「なるほど、その条件を呑んだとするなら、私はこの土地を離れる気はありません。よって公国へは参りません。なので婚姻は拒みます。」


ザルムはカヴァリールに目配せする。

視線に気づいたカヴァリールはわざとらしく肩をすくめて見せる。


「別に貴女が公国に来ずとも婚姻は成り立つが、それでも拒むか。」


「拒みます。そして我らは盟約締結にあたり、要求致します。前皇帝第三皇妃、ベリシア・エン・アンシャールが祖国から持ち出した、十二宮、アイゴケロス、アクエリア、至高種コヨトル、そして至高種オルカ。これらの星を返して頂くことです。これらの望みを全て聞き入れるというのなら、盟約を交わしましょう。」


ザルムは内心溜息が出る思いだった。

どうしてこうも、奴の思い通りにことが運ぶのだろう。


「なるほど、しかし残念だがアイゴケロスは無理だ。俺がコヨトルに喰わせてしまった。もうこの世には存在しない。そしてオルカも行方知れずだ。」


声を荒げたのはキ家の男だ。

「行方知れずだと。」


「ベリシアはオルカを胎児に憑けた。そして子供が生まれると公国を去り行方をくらました。俺はベリシアを探し、捉えようとしたが子供を取り逃した。今その子供がどこで何をしているのか、生きているのか死んでいるのかも分からない。」


「何という……。」

アースタルテに先程までの威厳に満ちた面影はなく、焦りと困惑と絶望が混じった様子で項垂れた。



「だがコレはある。」

ザルムが鉄の箱を差し出し、蓋を開けて見せる。

中には赤いインクルージョンを含んだ、アクアマリンのような結晶があった。


「アクエリアの結晶だ。エン家にお返しする。」


傍らからに控えていた青年が箱を受け取り、キ家の男へ渡した。

男は結晶に触れ、

「確かに、エン家のアクエリアだ。穢らわしい事この上ない。」


「コヨトルとアクエリア、この二つを返しコヨトルはアンシャールの管理下に収まる。これでイトワシを1人貰い受け、オルカ捜索の為に人員としての星憑きの貸与してもらおう。オルカは見つかり次第テム•ニルへ運ぶ。これでどだ。」


アースタルテはしばし黙った後、はっきりと確かな声で宣言した。


「いいでしょう。イトワシは好きな者を選び下さい。滞在も期限は設けません。ゆるりとお過ごし下さいませ。」


そう言い残して、ギ家の男と共に去っていった。


ザルム達は来た時と同様、青年に連れられて謁見の間を出た。

廊下へ出ると、青年は目に付いた侍女を呼び止め、客室に案内するように伝えた。

ベロニカ、カヴァリールと共に客室へ向かおうとするザルムを、青年が呼び止めた。


「よろしいですか。ぜひ連れて行って頂きたいイトワシが居ります。」



ベロニカ達は侍女の案内で上の階に向い、

ザルムは青年と共に別の地下へと続く廊下を進む。


廊下には規則正しく明かり取りの隙間が彫られているが、手持ちの灯りがなければ、石段に年期が入っていることも相まって、足元はかなり危うい。

途中、青年が語り始めた。


「どうかお気を悪くなさらないでください。

ギ家の星は蟹、このテム•ニルを守る役目があるのです。」


「確か、不死の恩恵だったか……。」


ザルムも数年程度だが、他のアンシャールと共にあの竪穴の街で過ごしていた。

幼さ故にきちんと理解はしてはいなかったが、テム•ニルに住むアンシャールは蟹の恩恵によって、

歳を取らず、怪我さえしなければ永遠に生きる。そう聞いたことがある。


「おっしゃる通り、テム•ニルに住む者は身体が完成した時から歳を取らず、怪我さえしなければ永遠に生きることができます。しかし、この恩恵から外れた者も居ます。」


それがイトワシか……。ザルムは内心呟くが、答えは意外なものだった。


「星に憑かれた者、そして扉の間に入れられた者です。」


「星に憑かれた者……、それぞれの家長たちか。皆誇りを持っているように見えたが。」


青年は首を振る。


「そんなの建前ですよ。ここでは星に憑かれる事は災いでしかない。

平凡であれば蟹の力で永遠に生きていける。しかし家長に選ばれ、星憑きとなた途端に命は有限になってしまう。やがて星に身を蝕まれ、結晶となって生を終えるのですから、のうのうと生きている者を恨めしく思って当然。いえ、それが自然でしょう。」


青年は続ける。


「私の家計はエン家から派生しました。南の魚座を継承しています。私が生きている間に、家長は三人いれ代わりました。先ずは父、次に兄、そして今は甥が引き継いでいます。」


「晩年兄は言いました。私が憎いと。甥も同じです。肌に結晶化が現れた時、私に言いました。何故私はこの先も未来永劫生き続け、己は死を恐れながら生きねばならないのか、と。」


「そうか……。」

だからベリシアは、いずれ朽ちていくイトワシに興味を持ったのか……。

今まで想像もしていなかった、恩人の一面を見た気がした。


「もしも兄や甥の言葉を公にすれば、我が一族は糾弾されることでしょう。

ですが、彼らの言葉は真実だ。だから私は宗家家長が何故外界を目指したのかが想像できる。

彼女もまた、納得いかなかったのでしょう。外界では星憑きは長命で尊敬の対象となると言いますから、彼女は神に選ばれた特別で幸福な存在となる為に外界を目指したに違いない。その思いを咎める資格など、ここで平凡に暮らす私たちにはない。そう思うのです。」


そして扉の間にたどり着いた。

かつてザルムが暮らした場所だ。


青年は外扉を開け、中の柵門も躊躇いなく開けた。

内部の空間を横切るように川が流れ、対岸には

蛍の群れでも居るかのような光が、4箇所、地面から溢れ出している。

その下に至高種が居るのだ。


その光の他は、川の水が流れ込む場所から微かに光が差し込むだけ。気が狂いそうな暗闇だ。


青年が内部を照らすと、身をすくめる存在があった。


「怖がるな。来なさい。」


青年が呼びかけると、人影はザルム達の方へと近づいてくる。

ライトの灯りの近くまで来ると、それは心細気に手を胸の前で握りしめながらザルムと青年を上目遣いに観察する。


伸び切った黒い髪、濃紺の瞳、痩せ衰え、男か女かも区別がつかず、惨めな姿だ。


ザルムには、かつての自分よりも更に痛ましいく見えた。それはそうだ、コレには外の世界から語りかける存在など無いのだから。


「この者を連れて行っては頂けませんか。」


「構わない。だが、連れて行ったところで、このイトワシの代わりに別のイトワシがここに入るだけだろう。それともこの子供に思い入れでもあるのか。」


すると青年は首を振った。


「思い入れなどございません。ただ、もうコレ以上イトワシを閉じ込める事は致しません。役目は私が代行します。日の出と日の入り、ここへ来て血を捧げます。もし私が息絶えたら、私と同じ志の者に任せます。」


同じ志の者、イトワシを閉じ込める事に異議がある者。或いは、道中彼が語った事を指しているのだろう。


「そうか……。」


そしてザルムは子供を一瞥する。

その成りでは、シャームどころかベロニカも顔を顰めるだろう。


「明後日の早朝、連れが出立する。それまでに身なりをまともにしておいてくれ、あと患っているものが無いかも診ておけ、道中死なれては困る。」


「かしこまりました。」


青年は深々と頭を下げた。

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カグノエ ー厭わしき貴方ー @sangiy

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