第28話

それから間もなくして夏の対バンのチケットの一般発売が始まった。



勝手に二枚取っていいのかな?

やっぱり、ここはまず築島の返事を聞いてからのほうがいいのか?


でも早く取らないと、チケットが売り切れる可能性だってあるし……



朝から、俺はライブのチケットのことで頭を悩ませていた。


なかなか、築島に自分から話を振る勇気が持てない。


お金かかることだしなぁ?


チケットの金額は、そんなに高くないけど、でも高校生の俺たちにとっては、安くはない。



悶々としていると、帰りぎわに築島が、俺に声をかけてきた。


「高橋君?朝から浮かない顔してたけど、どうしたの?」


チケットのことを言おうとしたら



「あ、そうだ?この間のバンドのチケット一般発売始まったんだよね」


と先に築島に話を振られた。


「え?なんで知ってるの?」



「バイトの間、たまたまチケットの発売情報が載ってる雑誌見たんだよね」



そう言って築島が差し出した冊子の見開いたページには、俺の好きなバンドの名前があった。



「うちの店でチケットとか扱ってるからね」



「ありがとう!気に掛けてくれて!」



「でね?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

君のスピード感 @mizukiumi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る