第11話
碧の母親は、そのたった1枚の遺書を、最後まで読む前に声をあげて泣き崩れたという。父親は、そんな母親の肩を抱きながら震える手で手紙を持ち、読み終わった頃には声を押し殺して泣いていたという。
碧の願い通り、誰も咎められず、責められず、両親も遺書の内容に納得した。
当然遺書に書いてあったことは、エミリにも伝えられた。エミリはその後、しばらく自分の部屋から出てこなかったらしい。
伊上のドッペルゲンガーが、エミリを襲うこともなかった。碧のドッペルゲンガーの予想通り、伊上は碧の死後、自分も後を追うと言って自殺未遂を犯した。この出来事で、エミリと付き合っていたことがあったのもバレ、学校をクビになったそうだ。
碧の死は、無駄ではなかったとは断言できない。
その死の真実を知るのは、碧とドッペルゲンガーしかいないのだから。
Doppelganger 七瀬みちる @nanase_michilu5
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