描いたドレスが現実に⁉

 なんと素敵な話だろう。「舞踏会に着ていくドレスがない」と、有名な童話を思わせる冒頭から、どこか諦め切れずに理想のドレスを絵に描く主人公には、創作界隈ですみっこぐらしをしている身として、どこか微笑ましいような共感を覚えた。

 若草色のドレスというのも、目がチカチカするような豪奢なデザインではなく、ひとたび瞼をおろせば、そよ風にさざめく草原の中心に立っている自分と、草木の柔らかな香りがありありと想像できて、心温まるストーリーにこれ以上ないほど溶け込んでいた。

 ティアナにドレスが届いた理由も素敵であった。時渡りの魔法―ネーミングセンスいいっすねぇ……