第40話

一瞬驚いた顔をしたけれど、すぐに優しい笑みが返って来る。



「とりあえず詳しい話はまた」



電話を素早く終え、体がこちらを向いた。



「さぁ……お待たせ」



「わっ!」



抱き上げられ、そのまま優しくベッドへ寝かされる。



覆い被さる貴也が、ゆっくりネクタイを緩める。その姿にベタながらもドキドキしてしまう。



「じゃぁ……愛し合おうか……」



「何か、セリフがクサい……」



「酷いな……」



苦笑しながら貴也の顔が近づいてくる。



ゆっくり触れる唇。



小さく音を鳴らして離れて、また唇が重なる。



「迪香……好きだよ、愛してる……」



「私も、愛してる……」



触れるだけなのに、体の奥から熱を引き出すようなキスは、彼としか出来ないものだ。



今後も、それは変わらない。



すればするほど、体に刻み込まれていくよう。



「これでもかってくらい、幸せにするから」



「それは楽しみ」



二人がずっと笑っていられるなら、私はそれだけで幸せだ。



将来、家族が増えたらなんて、理想でしかないけど、私みたいにはならないように、ちゃんと愛してあげたい。



貴也がくれたみたいに、優しく包むみたいな、愛を。







[完]

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愛はないけれど、お金持ちだったので結婚しました。 柚美 @yuzumi773

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