第41話 月収30万円(2)- Side:黒猫 歌鈴(劇場:ダンジョン)
ここは第60階層『星の湖』。O市には『オルゴールシンフォニーホール』と呼ばれるレトロな雰囲気の劇場がある。
オルゴールの展示や演奏会が行われる場所で、美しい建物と独特の雰囲気が観光客に人気だった。
私たちが今いるのは、その劇場に出現したダンジョンで、主に劇団の人たちの練習場として使われていた。また、職人さん達の工房もあるそうだ。
運河にあった『観光用ダンジョン』や、水族館にあった『研究用ダンジョン』とは異なる用途である。
「えっと……」
と
ここで怒ってはいけない――と思い、頭の中で言葉を整理する。
それからリーナちゃんへ、次のように確認した。
「でも『ダンジョンエクスプローラーメンバーシップ』って、こんなに早く参加できたっけ?」
(確か、色々と条件があったハズだよね……)
アプリが作られた
より多くの情報を集めるために、探索者以外も利用が可能となり、収益化も実装された。その収益化の仕組みがダンジョンエクスプローラーメンバーシップである。
簡単に言うと、ダンチューブチャンネルが視聴者に対して提供する有料サブスクリプションサービスのことだ。
このメンバーシップに参加することで、ファンに特典などを提供し、定期的な収益を得ることが可能になる。
(ただ……)
私の記憶では、未成年が収益を得るためには――
(親のアカウントが必要だったハズだけど……)
リーナちゃんは「ご心配なく」といった表情で、
「ダンジョン高校の生徒は特別だ――とマスターが言っていました!」
と答える。ダンジョン高校こと『北海道ダンジョン防衛大学附属高等学校』。
私がいつの間にか転校させられていた学校である。
(いや、気が付いたら手続きが終わっていた……)
と言うべきなのかな?
セーカくんが言うには、私を守るために必要なことらしい。
(なら、仕方ないよね♪)
どの道「
実際、ダンジョン高校の教育は学生兼探索者に特化している。
いい大学を出て、日本の企業で働く――という
私たちには、グローバルな視野を持つことが求められている。
海外での活躍や起業を将来の目標に加える必要があった。
しかし、現代の日本では教育格差が広がっている。
そんな中、私のような貧乏な人間は、チャンスを
ダンジョン高校に通う――ということは「その回数を増やすことに
ただ、危ないので選択肢からは外していたのだけれど――
(ここまで来たら、前向きに検討すべきだよね!)
ダンジョン高校は探索者活動に重きを置く。
よって、授業の最大の特徴は「いつでも、どこでも学べる」という点にある。
要はオンライン教育だ。
これならダンジョンを探索する合間に授業へ参加できる。
(先生たちは新しい教育方法に適応する必要があるから大変だろうけど……)
生徒である私の立場からすると、外国人教師からマンツーマンで英語を学べるようになったのは大きい。
しかし、最大の利点は「生徒たちが自分のペースで学ぶことが可能になった」という点にある。
オンライン授業なので、何度でも納得いくまで繰り返し学ぶことが可能だ。
個々の学習進度に合わせた指導が可能――というワケである。
また、学校へ
(この辺は、私よりフーカちゃん向けだよね……)
現在は「AIを使う側として育てる」そのための教育に熱心なようだ。
プロジェクトベースの学習やクリティカルシンキングの強化。
AIを使った共同作業を通じて、チームワークやコミュニケーション能力を向上させることに力を入れていた。
禁止するのではなく、AIを積極的に活用する。
生徒たち自身が「新しい価値を創出する」そんなことを求めているのだろう。
(まあ、ダンジョン活動をしたければ……)
効率よく勉強をしろ――という風に取れなくもない。
「現状、月収は30万程ですが、納税もあるので気を付けてくださいね」
とリーナちゃん。今度は私が固まる番だ。
(落ち着け、私……)
それだけ収入があったら、親の扶養から外れないだろうか?
(いえ、問題はそこじゃないような……)
フーカちゃんと2人でやっているから、半分の15万円で――
(バイト代に加えて、モンスターからのドロップ品を売ったお金もあるから……)
「この調子だと、年収300万ほどですね」
とリーナちゃん。さらりと答える。
いやいや、税金でもっていかれちゃうよ――て、そうではない。
内心で1人ツッコミをする私に対し、
「任せてください! コラボとグッズ展開が上手くいけば、もっと行けます!」
むふんっ!――リーナちゃんは再び胸を張る。
取り
少し落ち着いてきたよ。だけど――
(お菓子を食べて、フーカちゃんと話しているだけなのに……)
本当にそれでいいのか、怖くなってしまう。
動画を始めてから、まだ2週間も経っていない。
特に面白いことを言った覚えもないけれど――
(これも全部、セーカくんの計画通りなの?)
🍽️ 🍽️ 🍽️ 🍽️ 🍽️
*:._.:*:._.:*:._.:*:._.:*:._.:*:._.:*:._.:*
ฅ^•ω•^ฅ「カリンと~♪」
(˶ᐢ. .ᐢ˵)「フーカのー」
ฅ^>ω<^ฅ&(˶ᐢ- -ᐢ˵)「ティーダンジョン♪」
ฅ^•ω•^ฅ「今日は『ダンジョンの設定』についてです」
(˶ᐢ. .ᐢ˵)「ダンジョンに設定を求めるのは間違っているだろうか?」
ฅ^-ω-^ฅ「こらこら」
(˶ᐢ- -ᐢ˵)「うー」
ฅ^>ω<^ฅ「今日はダンジョンのおさらいだよ!」
(˶ᐢ. .ᐢ˵)「本当は本編でやるべき内容だけれど、設定がごちゃごちゃしてきたからね」
ฅ^>ω<^ฅ「じゃあ、『ダンジョンで入手できる資源』を紹介するよ」
(˶ᐢ- -ᐢ˵)「主に次の3種類に分類できるわ」
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1)魔力結晶 💎✨
特徴:高いエネルギーを持ち、魔法や特殊な技術に利用される。
用途:エネルギー源や高性能な電子機器の動力として使用。
2)魔石 🪨🔮
特徴:特定のスキルや魔法効果を持つ石。
用途:魔法道具や装飾品の材料として使用。
3)魔鉱石 ⛏️🌟
特徴:強力な魔力を含む鉱石。
用途:武器や防具の強化材料として使用。
//////////////////
ฅ^>ω<^ฅ「『
(˶ᐢ- -ᐢ˵)「まずは、ダンジョンの特性と課題を把握しておく必要があるわね」
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1)修復能力:ダンジョンには自己修復能力があり、大規模な採掘は困難。
2)
3)物質の消失:ダンジョンから持ち出した物質は時間の経過と共に万応素となって消えてしまう。
4)希少な素材:魔力結晶や魔石、魔鉱石などの素材は持ち出し可能だが、数が少なく市場には出回らない。
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ฅ^>ω<^ฅ「ダンジョン内は異世界だよ! 地上とは物理的に
(˶ᐢ- -ᐢ˵)「転移装置や転移魔法陣を使って移動するのが基本ね」
//////////////////
1)階層の分類🌐🔄
浅深層(1~20階層):通常の人間が活動できる範囲。比較的安全で、初心者向けのエリアです。
中深層(21~80階層):ダンジョン適合者とされる人類が活動できる範囲。常人は50層くらいが限界です。
深深層(81階層以降):非常に危険なエリアで『
2)万応素(マナ)の影響 🌟🔋
深く潜るほど、万応素の濃度が高くなります。これにより、出現するモンスターが強くなり、動植物も奇形化します。
3)動植物の適応 🌿🦋
ダンジョン内の動植物は、特殊な環境に適応した個体が多く見られます。これらを食すことで経験値が手に入り、一定値までレベルが上がりますが、個人差があります。
4)移動手段🚀🔄
ダンジョン内の移動は、転移装置や転移魔法陣を使用します。これにより、異なる階層間の移動が可能です。
5)エネルギーの活用 🌐🔋
ダンジョン内で生み出したエネルギーは、ダンジョンに影響の出ない範囲で活用されます。大型の機材を持ち込むよりも、スキルや魔法を使った方が効率は良く、ダンジョンに適性のある人間が仕事をしています。
6)持ち込み制限 🚫📦
一定の許容量を超えたモノをダンジョン内へ持ち込むことはできません。持ち込めたとしても一定時間、持ち主から離れた場合、地上へと自動で転送されます。長期保管にはスキルや魔法、特別なアイテムの使用が必要です。
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ฅ^>ω<^ฅ「専用のロッカーがあると便利!」
(˶ᐢ- -ᐢ˵)「高位の
ฅ^>ω<^ฅ&(˶ᐢ- -ᐢ˵)「またね~、ばいば~い!」
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スイーツとダンジョン~JKがダンジョンでお菓子を食べるだけの配信~ 神霊刃シン @AAA_michiba_sin_x
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