妖精が教えてくれたこと…。

如月 春音

妖精が教えてくれたこと

第1話

「あぁ…。つまらない…。」


私は、望んでこの場所に来た訳じゃない…。


辺りを見渡せば、鬱蒼と生えた木々と海…。


今流行りのオシャレスポットは、近くにはない。


外に出れば、心臓破りの急な坂道。


…私は、この町が嫌いだった。


『そんな寂しい事言ってないで、もっと周りを見てみなよ…。』


振り返ると、小さくて可愛い妖精が悲しげな表情で私を見つめていた。


『この町も素敵な所、沢山あるよ!』


私は、この町の人々と関わってみる事にした。


何処に行っても、穏やかな人達が多い。


そして、とても親切だった。


都会の独特な忙しなさが、ここにはなかった。


『マイペースな私には、この場所は合っているかもしれない…。』


私は、心からそう思った。


「この場所をもっと楽しめる様に、好きな事を始めたい。」


『良いと思うよ!ここは、ゆったりした時間の流れだから、きっと素敵な事が出来るかもね。』


妖精が私に、にこりと穏やかに微笑んだ。


私は、バスに乗りながら、この町の風景を見ていた。


「宝石の様に煌めく海…なんて綺麗なんだろう…。」


晴れ渡る空の下、陽の光で反射する海は、私の心を魅了し、癒してくれた。


少し歩くと、開けた場所から見える自然の山々。


「妖精さんが言っていた様に、少し見方を変えたら、この町も素敵だし、こんなにも自分の世界に彩りが差すんだね!」


私は、妖精に心から感謝した。


『ありがとう…。これからも、この町を愛してね…。いつでも側にいるから…。』


妖精は、ゆっくりと消えていった。


そんな私は、今日もこの町で、小説を生み出している…。

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妖精が教えてくれたこと…。 如月 春音 @Kisaragi-Harune

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