第7話 メリー
思い出した!
メリーって、この前お店で食べた果物っぽいものだ!
「あっ、私この前メリー食べたよ。今は実がなる時期じゃないんだね」
それを聞いて、ソフィアは不思議そうにしている。
「実ならついてるよ?ほら」
そう言われれば、さっきまで全然見えて無かったけれど、小さな実が見えた。
おかしい。
前食べた時はこれよりも随分大きな実だったはずなんだけど。突然変異とかじゃないだろうし。
そのことを言うと、ソフィアは、
「あっ!そうだ、実を大きくしたいって言われた時に、何か聞いたことがあるなぁと思ったら、メリーレストランのことだったんだ!」
と言った。
メリーレストランとはリアムさんに紹介されたお店のことだ。
本来、メリーは毒性を持っていたり危険な為、食用にするという考え自体なかったのだとか。そもそもみが小さいし。でも、ある人がその危険性を取り除き、更に実を大きくし、人々に驚かれたらしい。
それで、メリーを使った最初のお店ということで、メリーレストランという名前になり、一躍有名になったという。
「私はメリーあんまり好きじゃないけど、虜になる人が多発して社会現象になったんだよね〜!」
「そこまで影響をもたらしたんだ」
「うん!メリーなんて食用になりようがないものと誰もが思っていたから。メリーを食用にした人も、瑠歌ちゃんと同じお客様らしいよ」
「その人と話してみたいなぁ、でもそう簡単に教えてはくれないよね」
もし話せたら、かぼちゃを大きくする手立てか見つかるかもしれない。
ソフィアはものの数秒考えるような仕草をした。
「話をするのは何とかなると思うよ!その後は保証できないけど。手紙を書いてみたら?」
なるほど。話せる時間があるか聞いてみよう。どこに出せばいいんだろう。
「私に渡してくれれば渡しておくよ!リアが知り合いらしいんだ」
「リアって?」
「あー!リアムのことだよ。こっちの方が呼びやすいからね!リアはこの呼び方嫌いらしいけどね。最近この呼び方してなかったんだけど、うっかりしてたなぁ」
何でそのあだ名になったのか、ちょっと気になっちゃうなぁ。
「そうなんだ。とにかく、ありがとう。明日までに書いておくね」
それにしても、私が踏んだのはほんの少しではじの方だったから、もっと真ん中を踏んでいたら危なかったなと思った。
「今日はごめんね。次はちゃんと安全なルートを通るから!」
「ううん。そのおかげで綺麗な湖も見れたし、私の夢に一歩近づいたもん。湖もっと見れたら良かったな」
「それなら、完全防御して行くね!」
ソフィアは目を輝かせているけれど、ちょっと大げさな気がする。
「じゃあ、気をつけて帰ってね!」
「うん、ソフィアもね」
そういうと、ソフィアは驚いたようにしてから満面の笑みを浮かべて、
「大っ丈夫!自分で言うのもなんだけど、私は凄い強いんだよ!」
と言った。
霧川山は、何度通っても不思議な感じがする。どこか異世界に似ているような。
明日までに手紙を書かないといけないから、
急いで家まで帰る。
手紙…
何て書けば良いんだろう。
中学生に書ける敬語の文章なんて限度があると思う。
変な文章になることが明らかなんだけどなぁ。
そうやって帰っていると、目の前にアリシアがいた。やけに機嫌が良さげだ。
「瑠歌、帰ってきてたんだね。今日は私が夜ご飯作ったの」
そうだ!
アリシアは成績優秀だし、国語とか、作文とかもお手のものだからね。きっと、敬語とかも使える気がする。
そして、私は食い気味に言った。
「アリシア!!お願い、手紙書くのを手伝ってくれない?」
そう、それに熱中しすぎて忘れていた。アリシアがとんでもなく料理が下手なことを。
かぼちゃの馬車がつくりたい! 桃羽りり @plumruby11
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