番外編 ハロウィンパーティー(後編)

ピンポーン!

そう音がして、私は階段を転がる様に降りた。扉を開けると、昨日より本格的になっている猫姿のアリシアがいた。


「トリックオアトリート!」

「あっ!今お菓子とってくるー!」

急いで降りてきたから、お菓子持ってくるのを忘れていた。


「良いよ、だって、これからたくさん食べれるもの。これ、私からのお菓子」

渡されたのは、激辛と噂されているお菓子だった。


辛い系か好きな私にはぴったりなお菓子だった。流石アリシア、私のことわかってるなぁ。


綺麗にセッティングされたパーティー会場と化した部屋に行き、アリシアは目を輝かせた。


自分の好物が食べきれないほど目の前に広がっているのだから、そうなって当然だ。


アリシアのキラキラ顔なかなか見れないから本当に作った甲斐があったなぁ。

食べる速さも尋常じゃない。

本当〜にレアなんだからね!?


いつもは、優雅な微笑みって感じだけど、今は愛でたくなるような、あどけない笑顔って感じ。

これだけでもこのハロウィンパーティーを開いて良かったと思える。


「うーん、ほんとに美味しいわ。最っ高」

「ありがとう、私、子供達のためにお菓子準備しとくね」


この街では、子供達が色々な家に行ってお菓子を貰えるというイベントをやっていて、私達もお菓子をたくさん準備して待っているのだ。


しばらくして、子供達が私の家にやってきた。

「とりっくおあとりーと!おねーさんたちおかしちょーだい!」


可愛い。この純粋さがとっても可愛い。


「うん、ほらどうぞ、楽しんでね!」

「私からもこれよ。大事に食べてね」


「わーい!!おねーさんたち、ありがとう!」

 

一通り渡し終わった頃には、かなり時間が経っていた。


子供達はとっても喜んでくれて、アリシアと2人で満足感に溢れていた。


もちろんハロウィンパーティーはまだまだ続いた。

そして、アリシアとたくさん遊んだ。


ボードゲームでは、アリシアにボロ負けして、「なんか申し訳なくなってくるわ」と言われたり、カードゲームで白熱した戦いをしたり、協力ゲームで苦戦したり、それはそれは楽しい時間だった。


「アリシア、そろそろ帰る?もう結構遅い時間だよね」

ゲームや、楽しいことをしていると、すぐに時間が過ぎてしまう。


「そうね。でも、その前に、今日はとてもありがとう。そしていつもありがとうの気持ちを込めて、これ」


そう言われて渡されたのは、かぼちゃが刺繍されているハンカチだった。

アリシアは裁縫とか苦手なはずなのに、とても綺麗だった。


「凄い!お店とかで売られていても何の違和感もないよ。実はね、私もこれ」


私が渡したのは、押し花のしおりだった。


「アリシアのに比べたら大したものじゃないけど」


私たちは2人で顔を見合わせて笑って、お互いのプレゼントを大切にしまった。


「まさか2人ともプレゼントを考えていたなんてね。ありがとう、瑠歌」


今日は、充実した最高の1日として思い出に残ると思う。


また、来年もとびきり楽しい思い出にできますように。












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