洋風な異世界で異彩を放つ忍者ファンタジー

ヨーロッパ風の異世界ファンタジーで忍者が添え物のように出てくる作品はよくあるのですが、この作品はガチで忍者が主役の物語となります。作者様の忍者愛は相当なものがあると言ってよいでしょう。

物語は秋津国、山吹の里の上忍サカキが、ある忍務で大国、ローシェ王国の隣国に赴くところから始まるのですが、どうやらこれには裏の事情があったようでした。サカキが不在の間に山吹の里が襲撃に遭い、多くの同僚が討ち死にとなる報せがあったのです。

忍務の対象でサカキと居合わせたローシェ王国の要人は騎士の精神をもって山吹の里へ救援に向かうことを決めました。サカキは、これを大変恩義に感じ、居場所を失ってしまったこともあり、ローシェ王国に仕えることになります。

そこで新しい人間関係を得ることになるのですが、実に濃い人物が多いです。自身の異能にトラウマを抱える王女、忍者が好きすぎる宰相などなど。シリアスな中にも程よくコメディがあって、楽しく読み進めることができます。

また、山吹の里を襲った真犯人は? その思惑は? どうやって里を襲うことができた? など、多くの謎は大きな敵との対立を予感させ、一本芯の通った緊迫感のある展開も良いです。

元々別サイトで完結済みの作品のため、完結保証があるのは安心感があります。カクヨム版は読みやすいように修正され、読者フレンドリーな点もグッドです。

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