第38話 NTRrrrrrrrrrr

悲報、勇者が寝取られた。


って言う冗談はさておき、俺は綾人と勇者の模擬戦を観戦している。昨日のファミレスで俺より綾人と戦った方が良いって言ったら早速俺抜きで模擬戦祭り。


「俺も勇者と模擬戦したい〜」


「そう言いながらさっきまで俺をボコボコにしてたじゃん。魔力も限界だろうしもう良いでしょ」


「魔力なしでも俺は戦えるんで」


「嘘つけ、身体強化しないと戦えないだろ」


さっきまでの真也との模擬戦で魔力はもうすっからかんだ。真也の魔法は攻撃の範囲が広いせいで避ける時に必要以上に体力を消費させられる。

身体強化は体力の消費と魔力消費が比例関係にあるから、その分魔力の減りも早い。



「お前は本当に戦いづらいよな」


「全人類を代表してそっくりそのまま返させて頂きます」


そんなこんなでいつの間にか綾人たちも終わったようだ。表情を見てみるにおそらく綾人が勝ったのだろう。勇者は悔しそうな顔をしていた。


「最後のワンチャン勝てたよな〜」


「さぁ?本気出せばワンパンよ」


「綾人〜、勇者どうだった?」


「動きが遅くて上品な湊と戦ってるみたいだった」


「まるで俺が上品じゃないみたいな言い方じゃないか」


「事実だからしょうがないだろ。それで勇者?お前の戦い方は上品すぎるからもうちょい頑張れ」


「逆に下品な戦い方って何?」


「うーん…勝敗なんてどうでもいい、自分が楽しむための戦い方?」


「それは下品なのか?」


「勝負事で勝ち負けをすっぽかしてるんだし十分ゴミ行為だろ」


「そんなわけで勇者は自分が好きな戦い方でやってみ?俺たちの動きを確認してから受け手に回る戦い方じゃ一生俺らに勝てないよ?」


「うーん、やってみます」


「そこと速さを改善できたら普通に化けると思うんだけどなぁ」


「そうそう、速度がトロいのも問題だよ」


そんなことを言いながら今日の模擬戦の振り返りをしながら片づける。そしてそのまま更衣室で着替える。


「湊ってなんでそんなに速いの?」


「単純に身体強化の問題だろ?」


「勇者の聖魔法の身体強化ってどんな感じ?」


「え?普通に体に魔力を流すってイメージだけど?」


「じゃあ、今度はそれを意図しながらやってみ?例えば足に集中的に魔力を流してみるとかさ」


「もしかして湊って身体強化をマニュアルでやってんの?」


「やってるよ〜、というか近接攻撃をメインにするなら身体強化はマニュアルがデフォよ」


「うわぁ〜想像したくねぇ」


「身体強化をマニュアルで操作しながら魔法戦とか脳みそ死ぬぞ」


「だから近接戦闘の時だけにしといた方がいいよ。身体強化に気を取られて魔法がお粗末とか笑い物だし」


「湊って身体強化でどこ強化してんの?」


「足に4割、腕に2割、体幹に3割、目に1割とかかな…戦闘中に変わることはあるけど」


「目?」


「目に魔力込めて動体視力とかを無理矢理上げてる」


「だからあの速さなんだ…」


「たぶん勇者も速度を出そうと思えば出せるんでしょ。だけど自分自身の目がそれを追い付かないから出せない」


「でも戦闘中にそこまで回せるほど余裕ないよ」


「そこは頑張れとしか……」


動体視力の底上げを行っているから自分の動きにも着いていけるし、自分が高速で動いている間も相手のことがきちんと狙える。


「眼球って簡単に言ってるけど、首より上はセンシティブだから魔力を込めるのが億劫なんだよな」


「魔力を込めてミスって眼球爆散するよりかはオートマの身体強化の出力上げを頑張る方がいいよな」


「湊の戦い方ってやっぱ頭おかしい」


頭おかしいっと酷い言われようだが気にしない。

彼らをあしらいながら学校を後にする。





「明日もやる?」


「ごめん、先約があるから無理」


「女?」


「違くないけど違う。クラスの友達と模擬戦やるの」


「他の女子と一緒にいたらカエデちゃんが泣いちゃうよ?」


「お前なんで俺の配信見てるの?」


「面白そうだったから覗いた」


「そんなに面白いんか?」


「湊はもう少し社会に興味を持とうよ」


どうやら明日は勇者をサンドバ…………模擬戦出来ないらしい。

久々の3人のいつものメンツになったわけだ。


「それじゃあ俺はここで」


「おう、お疲れ~」


「明日のデート頑張れよ~」


「デートじゃない‼」


そんなこんなで勇者と別れていつもの3人になった。

3人になったというわけでこっからどうなるから分かるだろう?

ワル乗りだ。


「尾行する?」


「奇遇だな。俺も同じことを考えていたところだ」


こういう所は普通の高校生と何ら変わらない。とはいっても普通の高校生は尾行なんてしない。いわゆる精神面、マインド的なやつが普通の高校生と変わらないってわけだ。

ほら、高校生って恋愛系のお話大好きでしょ?


「誰と模擬戦やるんだろうな」


「誰とかはどうでもいい。問題は模擬戦でどんなことをやるかだ」


「どんなって何?」


「例えば『教えてあげる』って言って肩に手を回したりとかね」


「エロ爺じゃねえんだぞ。さすがにそんなことはしないだろ」


「どうだろね。実際に模擬戦の後に夜の模擬戦に突入するなんてことも……」


「お前らエロガキすぎない?」

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魔法全盛期のこの現代を逆行するかのような男が俺です ヤンミョムチキン @41922

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