作品紹介:異世界ファンタジー

2.硝子の剣 鉄の円冠/空烏 有架(カラクロアリカ)(紹介No. 7)

 今回は、空烏 有架(カラクロアリカ)さんの異世界ファンタジー『硝子の剣 鉄の円冠』を紹介させていただきます。このコラムの最後、------の後はネタバレになりますので、作品を読んでいない方は飛ばしていただけると幸いです。



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紹介No. 7 ※創作論・評論の2作も数に入れています


URL:https://kakuyomu.jp/works/16818023213240977131


話数:5(2024/9/6現在)


文字数:9,996文字(2024/9/6現在)


投稿状態:完結済


セルフレイティング:性描写有り

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 この作品は、紹介第1弾の『桜兎(さくらうさぎ)・明治悲運奇譚』(瑠花さん作)と同様、私が今年7月初めに立てた自主企画『そのドロドロ、過剰です⁉︎』(現在は終了)に参加していただいたことで知りました:


https://kakuyomu.jp/user_events/16818093080425113428


 空烏 有架(カラクロアリカ)さんは、この企画に本作と『眠れるオペラ』という現代ドラマの2作で参加してしてくださいましたが、私は異世界恋愛系が好きなので『硝子の剣 鉄の円冠』のほうをこのエッセイで紹介する作品に選びました。


『眠れるオペラ』

https://kakuyomu.jp/works/16816700428346567838


 私のドロドロ企画の趣旨通り、『硝子の剣 鉄の円冠』の主人公2人はラブラブ溺愛ではなく、かと言ってツンデレでもなく、お互いに本心の分からないまま最終話の初めの状況までに至ります。


 ちょっぴり私の書いた粗筋で紹介いたします。


【粗筋】

 まだ少女と言ってよい女王フィルガレーデは若くして即位し、一回りも年上の敵国王子ザイワンと結婚せざるを得なかった。胡散臭く見える彼が野心を持っている噂は常に絶えず、そのことが夫に対するフィルガレーデの心を固く閉ざした。だが彼らの関係は時によって逆転した。かわいい子が生まれた後も、そのいびつな関係は変わらないまま、過酷な運命を2人が襲った。それに対する2人の決断と結末は如何に……


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 他のレビュワーさんがおっしゃる通り、文章は少し硬いですが、それがまた格調高くてちょっぴりダークな雰囲気のファンタジーにとても合っています。


 女主人公は若くして即位せざるを得なかった女王フィルガレーデ。彼女はまだ少女の年齢で、かなり年上の敵国王子と政略結婚、しかも一見(?)冷たい関係で溺愛じゃないのに、白い結婚じゃない。私にとってすごく萌える設定です。


 読者が作品をどう解釈しようと、誹謗中傷や権利侵害でない限り読者の自由だと私は思います。それでも作者・空烏 有架(カラクロアリカ)の意図も知っておいてほしいのですが、この「溺愛ではない」というところが空烏さんにとって大事な要素です。なぜなら、溺愛は空烏さんには苦手なコンテンツで「溺愛」と書くのも苦痛だからです。だから万一、この作品の主人公カップルが読者にそう見えたとしても、作者はそのつもりで書いていないとのことです。私にもそのような作者の意図は読み取れましたが、最初に書いたレビューはそう見えなかったかもしれないので、少し書き変えておきました。読者の皆様がこの作品を読んで主人公カップルの関係をどう感じるか、私には興味深いです。


 私の場合、溺愛はそこまで苦手ではないですが、溺愛を謳っている作品を読むかどうかは話の展開によります。すれ違いや焦れ焦れ、元サヤの末に溺愛ならいいんですけど、最初からものすごいスペックのイケメンに理由なくただ溺愛される話、例えば、「スパダリ御曹司になぜか溺愛されました」とか「陰キャの俺がなぜか巨乳美少女達に好かれてる」みたいな小説はあまり読む気が起きません。ご都合主義と言うか、そんなことあり得ないだろって思えちゃうからです。でももちろん、小説だから夢を見たいっていうご意見もあるでしょう。それは理解できますので、これは単に私の好みの問題です。


 少し脱線してしまいました。兎にも角にも『硝子の剣 鉄の円冠』の結末にはあっと驚かされました。1万字弱の全5話ですので、気になったらすぐに読める長さなのもいいと思います。


私のレビューはこちら:

https://kakuyomu.jp/works/16818023213240977131/reviews/16818093085650307970


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↓まだ読んでいない方はネタバレがあるので、飛ばして下さい↓


 一見冷たい敵国の王子が夫の権利を盾に女王に夜伽を強いるっていうシチュエーションがすごく萌えました。第1話で、ザイワンに触れられたくなかったフィルガレーデの手袋を、彼が無理矢理剥いでねっとり手にも口にもキスしたくだりも最高でした。だからこそ、2人のちょっぴり無理矢理チックな官能的な夜伽を読みたかったなぁと切望してしまいます。カクヨムでは不可能なのが本当に切実に残念です!


 ザイワンが以前は第一王子だったとフィルガレーデに話した時、「数字は継承権の順位であって、年功序列とは違う」と言っていましたが、彼の故国に今9歳の王子もいるなら、第一王子だったザイワンは年功序列で継承権1位だったことにならないんでしょうか?


 ネタバレできないので、上記では結末に関する感想をああいう風にぼかすしかなかったんですが、完全なハッピーエンドじゃなくてちょっとビターな感じだったのもよかったです。でも少しビターではあっても、フィルガレーデにとっては彼と会えたことが最重要だったんだろうなと思います。ただ、すごく下世話な興味なんですが、ザイワンはあの身体でまたフィルガレーデを抱けたんだろうかと思ってしまいました。もし抱けたのなら、そんなシチュエーションの官能シーンを切実に読みたい! けど、カクヨムじゃ無理なんですよねぇ……

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