作品紹介:異世界ファンタジー

1.極夜の狼─ウルデンガルム─/綾野智仁(紹介No. 4)

 今回は、綾野智仁さんの異世界ファンタジー『極夜の狼─ウルデンガルム─』を紹介させていただきます。このコラムの最後、------の後はネタバレになりますので、作品を読んでいない方は飛ばしていただけると幸いです。



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紹介No. 4


URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093082100155153


話数:25(2024/10/1現在)


文字数:65,372文字(2024/10/1現在)


投稿状態:連載中


セルフレイティング:残酷描写有り、暴力描写有、性描写有り


※本記事投稿後、2024/10/1に更新された状態を反映させていますが、これ以降の更新は上記に反映させない予定です。

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 本作は異世界ファンタジーに分類されていますが、魔法(摩訶不思議な存在はありますが)やダンジョンが出てくるわけではなく、ちょっぴりダークな面もある王道ファンタジーです。


【粗筋】

 誘蛾灯のように男達を引き寄せて破滅させる美しい皇女リリーは、20歳の誕生祝賀会で突然会ったこともない男との結婚を宣言する。それは、『砂漠の狼王』と謳われる英雄ロイドの息子レイン。彼女の思惑の裏にあるのは何か。レインは他の男達と同じようにただ利用され、誘蛾灯の藻屑と化すのか。それともリリーがレインの純朴さ・誠実さに絆されるのか。彼らの愛とリリーの復讐の行方は果たして……


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 実は、この作品には元になる作品が2点ありまして、私は昨年、それを読んでファンになっていました。


 2023年9月19日から11月5日まで開催された『「世界を変える運命の恋」中編コンテスト』に、綾野さんは対になる作品として『反逆の皇女─アグノス─』と『極夜の狼─ウルデンガルム─』を応募していました。前者はヒロイン・リリー皇女、後者はヒーロー・レインの視点で話が進む意欲作でした。同じ場面でもリリー自身や、リリーの従者達など彼女側の人間から見た物語と、レインや彼の盟友達、両親から見た物語では、見えてくるものが結構違っていて、私は読者として楽しんで読んでいました。でも、やはり根本が同じ物語を視点を変えて並行して2作品として書いていくのは書き手としては結構大変だったと思います。今年2024年8月に『極夜の狼─ウルデンガルム─』として統一されて投稿された作品が、上記のリンクの作品となります。その経緯は綾野さんご自身も8月1日の近況ノートに説明されています:


https://kakuyomu.jp/users/tomohito_ayano/news/16818093082105851332


 綾野さんは、素敵な表紙を作成してもらっていまして、上記の近況ノートにも掲載されています。

イラストは未早さん(https://twitter.com/sanapon7777)、

題字はオヌマ愛子さん(https://twitter.com/onuai)に依頼されたそうです。


 タイトルにある「ウルデンガルム」ってなんだかすごくかっこいいと思いませんか。どこからそういうセンスのいい名称を思いつけるものなんでしょうか。私は想像力もセンスもないので、ひたすら昔の国名や人名から引っ張ってきています。


 本作は、砂の上を進む船や不気味な塔、正体不明な剣豪やリリーに心酔する女剣士などファンタジー要素をたっぷり含みますので、ファンタジーが好きな方が楽しめる作品だと思います。特に砂漠を疾走する砂船すなぶねという発想が斬新です。


 でもはやり、恋愛小説好きな私としては、リリーとレインの切ない愛の行方に目が離せません。特にリリーが悪女ポジションで、レインが不憫で気弱、心優しい純朴青年というのがたまりません。私も小説を書いているんですが、不憫なヒーローが大好きで作品に登場させています。


 ジャンルが恋愛じゃなくて異世界ファンタジーに投稿されている以上、リリーとレインの愛の行方にあまり注目されるのは、綾野さんにとって心外かもしれませんが、広い心でお許し下さると嬉しいです。


 更新は、今のところ(2024/9/28現在)今年8月23日の第19話が最後ですが、今後は週1~2回の更新を予定しているそうで、嬉しいです。不憫男子レインに春が?! それとも騙されちゃうのと胸がキュウ~ンとしっぱなしの超いい場面に入っているので、是非続きをお願いしたいところです。


私のレビューはこちら:

https://kakuyomu.jp/works/16818093082100155153/reviews/16818093085532827712



【追記2024/11/13】

 綾野さんが本エッセイのことを近況ノートで紹介してくださいました。新たな『極夜の狼─ウルデンガルム─』に統一して再掲載を始めた当初、不安だったそうですが、私の紹介記事でエールを贈れたようで私としても望外の喜びです。


 また、「小説を書くのは楽しい、読者や他の作者の皆様方と交流するのは楽しい」という私の考えに共感していただき、さらに「きっと、読みたい小説、推したい小説が見つかる」と思っていただけてとても嬉しいです。


 2024年9月28日に紹介記事が出た後も『極夜の狼─ウルデンガルム─』は着々と更新されていて毎回嬉々として読んでいます。ヒロイン・リリーがレインに感じ始めた情にふと迷いを感じる様を読むにつけ、「リリー、お願い! レインを裏切らないで! ラブラブカップルになってぇ~」とハラハラドキドキしながら読んでいます。


綾野さんの近況ノート「ご報告2」(2024/11/12)

https://kakuyomu.jp/users/tomohito_ayano/news/16818093088465641018


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↓まだ読んでいない方はネタバレがあるので、飛ばして下さい↓


 あまりにレインが初心うぶすぎてリリーの手玉にとられているようで心配です。でもリリーはこの純朴青年に時々絆されそうな感じなんです。そこに私は望みをかけてます。リリー、お願いだから純真なレインを破滅させないでぇ~ラブラブカップルになって欲しいです。無理かな?


 素敵な表紙絵のレインは、謎の皮膚病の影響など微塵も感じさせないイケメンですが、話の中でも彼がじきにそうなって劣等感に苛まれなくなるのを祈ってます。


 第11話で語られたレインの両親ロイドとサリーシャの馴れ初めが素敵でした。いずれスピンオフとして読んでみたいです。


 次期皇帝の生母やその縁戚の専横を防ぐためにあった餓死刑が、リリーの母の代で突然、復活した謎はいつか解けるんでしょうか。それがそもそものリリーの悪女としての行動の原動力なので、いつか知りたいです。


 リリーがこんな大それたクーデターを計画する以上、大規模な準備が必要だから、秘密にしていても祖父の皇帝や兄の皇太子が計画に勘づく可能性がありそうに思えます。もしそれに全然気付かないなら、彼らはボンクラ(すみません)としか思えないんですが、祖父は偉大な皇帝っぽいし、皇太子はキレ者のように見えます。それともリリーの方が一枚上手なんでしょうか。

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