トラックに轢かれた俺。チートアイテム「見通す鏡」を神様から貰ったが、それだけじゃ異世界では戦えないので大人しく天国へ現着します

道楽byまちゃかり

こうして俺は日本で一からやり直そうと決意した

「お前さんは不幸にも家にトラックが突っ込んできて即死してしまったぁ。なので色々端折るがチートアイテムを駆使して異世界で無双してきてほしいのだ」


「色々端折りすぎだよ!?」


 なにこの神殿風な場所! なにこの神様風の爺さん! ドッキリなら早くネタバラシしてくれよ!


「ほれチートアイテムじゃ。これは見通す鏡と言って、その名の通り地球や天界、地獄や異世界に至るまでありとあらゆる場所を見れる鏡なのだ」


 勝手に話進めないでほしい。もういいや。状況受け入れよう。


「てか爺さん。本当にこの鏡っていろんな場所見れるん? 試しに俺の家見せてくれよ」


「お安いご用じゃ」


 そう言って爺さんは鏡に手をかざす。すると鏡に朧げながら画面が現れ始めた。


「……更地になってる」


「どうやらトラックに当たって家ごと消滅したようじゃの」


 俺の家は綺麗さっぱり無くなっていた。風景を見るに元々俺の家があったのは間違いないが、にわかには信じがたい。もう少し試さなければ。


「それじゃ次は……どこにしようかな」


「お試し使用は後一回じゃ。これ以上使うと天界規定に引っかかるからのぅ。これ以降は異世界でやっとくれ」


 なんてケチな爺さんだ。本当にこいつが神様なんだろうか? いや、神様が有能だったら現在地球で起きてる問題もとっくの昔に解決してるだろうから、こいつは本物っぽいな。


 そうと決まれば、最後の一回を何にするか決めないと。いや、もう決まっている。


「重要なとこなんすけど、この鏡って女の子のお風呂を覗くのできるんすか?」


「それは不可能だ。厳しく禁じられている」


 そうか。そう都合よくなってはないんだな。全然チートじゃないやんけ。


「出来たとしても、決まって謎の光が女の子の重要な所を隠してしまうのだ」


「……もしかして爺さん、見たん?」


「神様とて絶対ではない」


 神様はスッと顔を逸らしてこう言った。分かりやすくはぐらかしたな。


「まあいいや。これで異世界無双してくればいいんだろ。ていうかこれでどうやって戦えと?」


「この鏡は戦闘に使えんよ。精々スライム相手に鏡を鈍器として扱って、なんとかギリギリで殴り勝てるかって所かの」


「要するに鏡自身は戦闘力皆無ってこと!?」


「さらに言えば、異世界の90%は人間が一瞬で成仏するような毒沼での。お主は鏡を使う前に昇天するかもしれん。まあそんなことは些細なことよ。それではお主を異世界へ転送するぞ」


「うん。大人しく天国行った後、日本に転生して赤ちゃんからやり直すわ」

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