第4話「本格的な授業」

 俺と女子四人でミナギ先輩のところに来ると、そこで腕試しが行われていた。それも丁度最後に俺がミナギ先輩を相手にしていたが、そこで【領域改変】によって俺は敗北に至る。


「これで君たちの実力は何となく分かった気がする。そこで残り時間では魔力の増量に務めたいと思う。そもそも魔力量が多いほど魔法は強化させる。戦闘技能にもよるが、実際は魔力量の多かった方が有利なのは変わらない。そこで【フィジカルスキル】みたいな体質ならまだしも、通常の魔導士なら魔力量で攻めるしか勝ち目はないと思った方が良い」


 ミナギ先輩の言うことは分かっている。そこで俺は【龍眼】を解放させて魔力の増強と共に身体機能を極限まで高めることが出来るのだ。それを目的とすることで、俺は序列三位に位置するトウガ先輩を超えるのが目的である。俺が史上最強の氷魔導士になるにはそれしか方法はないと思っていた。


「まずここで問おう。強くなる上で君たちに目標はあるかい?」


「もちろんです」


「私にもあるよ!」


「まさかない訳ないよね? 私にだって目標ぐらいはある」


「当然だよ」


「やっぱ学内順位を上げることかな?」


 俺らにはやはり目標が存在した。それを達成させるためにこの学校に来たのだ。それを全うしないで充実したなんて言えっこないのである。しかし、中には失望する奴らも少なくないと思われるのであった。


 そこで俺はまず序列三位を超えるため、クラス内で一位を取るのだ。その段階から始めて次は学年一位である。その次に序列十位以内を目指すものとしたいのだ。それ以外に目標とすることなどないのである。


「俺は最終目標としては序列一位になることだ。それにはまず少しずつ順位を上げて行く必要がある。しかし、それを達成させるには【龍眼】を解禁するのが優先だ」


「それはエルシャ先生からも聞いたよ。それがあればヒョウマ君は誰よりも強くなれるとね? だから、それを解禁させるために魔力を上げるのが適切だと思ってる。それは分かっているよね?」


「当然です。それが理解できないようじゃ話にならないんですよ」


「よし。認めよう」


 そんな風に俺の目標はミナギ先輩も知っている通りだ。そこでライネから目標が明かされて行った。それは些細なことだけど、かなり良いことだと俺は思っている。


「私は学内順位を百位までにランクインすることだよ。それが出来れば騎士団でも通用できるじゃん!」


「ほう? 君は騎士団の志望者か? ま、百位までに入れば推薦状がもらえるのも確かだ。頑張りなさい」


「はい!」


(どうやら騎士団に死亡していたとはな? 別に何を目指そうがかまわないんだけどね?)


 そして次にリンカがミナギ先輩の前で目標を示す。それも大きくはっきりとした声を上げるぐらいだった。


「私はとにかく強くなりたいです。この学校に入った者はみんな強くなるのを目標にしています。だから、それが充実した日常だと思うからです」


「単に強くなりたくて来たのか? それも実際にはありだね?」


 リンカの後はヒメナだ。彼女は縮こまりながらも自らの目標についてその場で掲げた。


「私は樹木魔法で世界の人々を救えるお仕事に就きたいです。樹木魔法は主に戦闘向けではないので、学内順位よりも成績を重視して行きたいと思っています」


「なるほど。些細ではあるが、それでも良い心掛けだよ。その調子で頑張りな?」


「はい!」


(人々ご救いたいなら救助隊が相応しいかも知れないな? 救助にあたる際に樹木魔法だった最適な手段に用いられそうだからだ)


「私の場合はヒョウマと一緒に頂点かな? 私だってやれば出来るって親がうるさいんだよ。だから、いつか期待に応えたい」


「どれも良い意見だ。それを忘れずにいろ。それが絶えてしまえば、それ以上は進めない。だからこそ、君たちは原点を思い出す必要があるのだ。分かったらよろしい!」


 そんな感じで目標が明かされると、その後には魔力の増量を目指して頑張る姿が見られた。今日のうちに魔力が二割も増したような気がして俺にとっては進展したのである。なので、俺は掲げた目標を達成するため、これからもミナギ先輩にお世話になろうと考えていた。


 そして今日は授業を終わらせて解散する。俺らは一学年の宿舎に戻って自分たちの部屋に行き着くのであった。そこで俺は個室に設けてあるシャワールームで汗を流すことで疲れを癒す。水を浴びるだけで汗が流れてさっぱりとした気分になった。


 それから夕食の時間になるまで俺は魔道者に目を通す。いつもの日課としてそれを続けていることによって俺に備わった魔法の知識は豊富なのであった。


 そして夕食が配られる時間になる。俺は食堂に行くと、そこでいつもの席にエリカたちの姿があった。彼女たちは俺を待っていたようで、その姿を見付けると、傍まで来て一緒に最後尾に並び始める。そこで俺らは会話を交わしながら、最前列になるまで待った。


「「「「「いただきます!」」」」」


 そうやって同時に食事を開始する挨拶を施す。それは食事が開始される時に毎度行わないといけない礼儀であるがため、いつも欠かさないのであった。


 そんな風に俺らは夕食を頂くと、最初に全部平らげた人から先に戻って行く。それには一言だけでも残すことで、俺らの間で分かるようにしているのだ。


「それじゃあ先に戻るわ。おやすみな!」


「うん。おやすみ!」


「「「おやすみ!」」」


 そうやって俺らが就寝前の挨拶をすると、そこで自分は先に部屋まで戻り、再び魔導書を読み始める。まだ寝るには早いので、魔導書に頼ることで、魔法についての知識を備えて置くと授業にも活用できるのだ。こうして俺は魔法の勉強を施すのであった。


 次の日になる。俺はいつもと同じ時刻に起床した。それによって俺の一日は始まり、眠気覚ましのコーヒーを飲む。カフェインを取ることで、目を覚まさせることが俺にとって重要な意味を成しているのであった。


「おはよう」


「「「「おはよう!」」」」


「お前らはいつも早いな?」


「うん。別に意識してる訳がじゃないけどね?」


「私も」


「正直に言うと、いつもこの時間帯に目が覚めるんだ」


「それも困るんだけどね?」


(無意識のうちに起きちまうんだな? ま、それが体質なのかも知れない。しかし、これから徐々に忙しくなる。その時にはぐっすり眠れるだろうな?)


 そんな風に捉えると、そこでエリカが俺に接近して忘れてはならないキスをする。それが他の三人にもされて、俺は少し照れてしまっていた。しかし、これも全部ミナギ先輩が仕向けたことだ。逆らう訳にはいかないのである。


「今日は本格的に授業があるんでしょ? 実践授業だった気がする」


「そうだな? 今日の三時間目と四時間目には実践授業が始まる。だから、少しでも良い成績が取れるように尽くさないとだ」


 そうやって俺が四人に向けて口にすると、それに対して盛り上がる一言をエリカによって成された。


「頑張るぞぉ!」


「「「「おおー!」」」」


 そんな感じで朝を過ごすのであった。


 そして登校する時間帯になる。俺は四次元になっているバッグを持って教室に向かった。そこまでは他の四人も同じで、一緒になって教室を訪れたのである。


 席は昨日と変わらない場所が確保できた。しかし、そこまで特別でもなかったので、大して喜ばしいことでもないのだ。


 すると、そこに再び入学式の前日に喧嘩を売って来た連中らが隣に座って俺らを冷やかす。そしてその挑発に乗ったリンカがそいつらに向けて怒鳴り散らした。


「何よ! 人を馬鹿にして何が面白いの!」


「あぁ? 少し勝ったぐらいで調子に乗るなよ。今日の三時間目と四時間目は確か実践授業だったな? その時にでもこの間のお返しをするよ」


「望むところね? ここはヒョウマが出る幕じゃないわ」


「私たちに任せて」


「良いぜ。実力差を見せ付けてやるぜ!」


(どうやらこんな奴らと対戦することになりそうだ。しかし、こいつらのレベルならこの四人でも倒せるだろう。だから、こいつらの相手は俺である必要がない)


 そんな風に俺は内心で思っていると、そこでヒメナが苛立った様子を窺わせる。それを俺はなだめる形で怒りを抑えるように言った。


「大丈夫だ。多分後で泣くことになるのはあいつらだしな」


「そうよね? あんな連中なんて思い知らせてやるんだから!」


「そうよ!」


(エリカたちの闘志に火が付いたな? これは見ものからも知れない)


 俺は内心に抱いた興味のある決闘に対して三時間目に行われる授業が楽しみになった。


 そして俺らは三時間目を迎えると、再び例の奴らがやって来て、決闘を申し込んで来る。それに対して俺らの選択は受けて立つことだった。それを受けないで黙っていられる奴はどこにもいないのだ。だから、ここは実力で分からせるのが妥当に思えた。


「初めまして。私が実践授業の担当を務めます。シオリ・メタルロックです。どうかよろしくお願いします」


(シオリ先生と言えば確か鋼魔法を得意とするってエルシャが言ってたな? それも魔剣を生成する魔法まで使える教師だ。しかし、そこまで強い魔導士でもないと窺っている)


 シオリ先生のことならよく知っている。シオリ先生はそこまで強くないが学問において優秀だった【最高メイジ育成学校】の卒業生で知られているのだ。なので、俺もその名は噂で聞いたことがあった。


「それではまずお互いの実力を見せ合ってもらうぞ! そこでチーム戦にしたいです。そこで二千五百人を四組に分けなさい。四チームのうちで先に相手組を壊滅させた方の勝ちです。さらに時間制限としますので、対戦時刻は二十五分だけ与えます。チームを組むならお互いで決めてください。喧嘩はしないようにお願いします。でほ、早速チームになってください!」


(三時間目の段階で実力を見るのは当然だな? そこであいつらとどうにか別れて勝負する形でいこう!)


「それじゃあ俺らは同じチームだ!」


 すると、そこにさっきの連中らが来た。そして俺らに向けて挑発する。


「これは良い機会だ。お前らをこの場で倒す!」


「お前らなんて大した敵でもないぜ!」


「だったら、私たちに勝ってからにしなよ! この勝負で痛い目見るよ!」


「やってみろよ! 俺らにはリーダーがいる」


「そうだ! 推薦枠で入学を果たしたんだ! お前らじゃあ相手にならないぜ!」


「バカね? こっちだって推薦状をもらって入学した奴なら三人もいるわ!」


「なっ⁉︎ けど、覚えてろ! 絶対に負かしてやる!」


 そんな風にそれを受けた俺らは全力でこいつらを倒しに行くことを誓った。しかし、実際だと俺にとっては大した敵でもないのが事実だ。こんなところで負けるほど弱くないと自覚している。


 そしてチームが四つに分かれると、そこでAからDと名付けられた。その中で倒された魔導士の数だけポイントとして加算される。そこでカウントされたポイントの数でチームごとに競うルールになっていた。俺らが相手する奴らはAチームにいて、俺らはBチームである。いきなり喧嘩相手と交戦することになるが、俺からしたら自身に欠けるところはなかった。なので、俺も本気で倒しに掛かる決意を胸に抱く。


「それではAとBの交戦になります。両チームはより多くの魔導士を倒してポイントを競ってください!」


(いよいよか? 少しでも緊張できないのは余裕があり過ぎるせいかも知れない。しかし、それが交戦に響くことはまずない)


 そうやって両チームがバラけて配置されると、そこで放送による開始の合図が鳴る。


「スタート!」


 そんな風にバトルが開始されると、そこで俺はまず相手を無差別に襲う策に転じる。それも【フリージングゾーン】で広範囲に渡って凍らせる魔法を使うのであった。


「下がってろ! 巻き込まれるぞ!」


 そこで俺は仲間を巻き添えにしないため、下がるように指示を出した。それに従わない奴がいないことが幸いである。なので、心置きなく陣内の敵を凍結させる策に出た。


「いっけぇぇぇ!」


 すると、俺らを見付けて接近して来た奴らは一気に凍結を受けた。それが有効な手段であり、一人でも挑戦して来た奴が混ざっていることが狙われた原因みたいだ。しかし、俺にしたら余裕で相手できるのであった。


「どうだ! 一斉に凍り付いたな!」


 この場で多くの対戦相手を戦闘不能にした俺はいつも普段だと誘わなかった。けど、エルシャが言うには、その大規模な魔法でも上手く扱ってみせるのが俺にとって望ましい人物像みたいだ。そこで凍結を受けなかった魔導士を相手にする。俺ははぐれた四人を探す前の段階で【フリージングブラスト】を施した。


(こんなものでは相手にならないか? しかし、これまでの攻撃で倒した人数はおよそ五百人ほどだ。まだ残り二千人もいる中で、どんな魔法を使うかによっては見せしめにもなるな?)


 しかし、実際に見せ付けることに関しては保留にするが、ここはとにかく時間までに人数を削るしかない。だから、俺はそれに徹したのだ。上手く乗り越えて欲しいと助言するけど、そこまで求められないのが良いと彼女は言った。


 一方のリンカは先ほどの仲間が立ち塞がり、その先には進ませてくれない。ならば、ここは無理にでも倒すことでポイントを稼がないといけなきのであった。


「やっとだな? あの時、後ろで隠れてた奴みたいだ。なら、ここで勝負しよう! お前に拒否権はないよ!」


 即座に炎が噴射された。それは火炎を放出させることで相手を焼き尽くす魔法だ。その名を【ブレイジングバーン】と言った。それはリンカに向けて放たれたが、それには彼女も対応できないほどてもなかったのだ。


「こっちだって!」


 リンカも同じく【ブレイジングバーン】を放った。この時点で火力勝負なのは考えるまでもないのだが、そので一番理解していたのはリンカである。


「もらったぁ!」


「ぐぁぁぁ⁉︎」


 リンカは相手を上回る火力を放出して勝った。これで一人目はリンカの手によって倒される。しかし、まだ他にも残っているのだ。そいつらの始末を急がなくてはいけないのだった。


 そしてライネが配置された場所では、風魔法を扱う敵と対峙したところである。そこで風圧を自在に操るのは目にした通りだ。風の動きが曖昧になっているところで分かった。そこで風対策ならしっかりとしている。


「風の軌道によって電撃が流されてしまう。ならば、私から距離を縮めて【雷拳】で攻撃するんだ!」


「はぁ? まだそのレベルの魔法か? 本当に勝てるんだろうな!」


「舐めないでよね! 私なら貴方を倒せる!」


 そうやってライネは風が吹く中で接近を試みるが、それは困難になる恐れがあった。しかし、そこでライネには秘策があるのだ。


 走って風の中を突き進んで行くと、そこで近付かれるのを恐れた敵は風で追い出す。そこでライネが吹っ飛ばされるとすぐに態勢を立て直すのだった。そして風が吹き止んだところを見計らって【ボルトオカーレンス】を発動させた。その絶妙なタイミングで放たれた電撃を敵はその身に受けてしまう。そしてその隙を狙って敵との間合いを詰めると、そこで一気に怯んだところを【雷拳】を食らわせた。


「はぁっ!」


「ぶはっ⁉」


「来たぁぁぁ!」


 ライネの放った一撃は見事に決まり、敵は戦闘不能に陥った。そこからさらに敵がやって来るが、そいつらには【ボルトウェーブ】で対抗する。それが決まって次々に敵を蹴散らした。


 そして一方のヒメナは【ウッドリストレイント】で縛ったところを拳に木々を巻き付けて強化させた状態で殴り付けた。その一撃で敵は戦闘不能となってBチームにポイントが加算される。そうやってヒメナが次々に木々で拘束して行った敵を殴り倒すのだった。


 そして最後はエリカと俺が偶然にも二人で同じ場所に配置されたことで、共に行動している。そこで立ちはだかった十人の魔導士は、さっき宣戦布告して来た奴が集めた仲間だった。それを二人で片付けようとしているところだ。


「行けるか?」


「もちろん。ヒョウマとなら相性が良いわ。私が【水流展開】を発動させて敵を全員纏めて流すから、そこを【フリージングゾーン】で凍らせるの。良いかな?」


「それは名案だ。そうしよう」


「行くわよ!」


 そこで俺はエリカとのコンビネーション攻撃で敵の全滅を企んだ。相手は多勢で掛かって来る分だけこちらが有利である。そこを狙って魔法を発動させた。


「「うぉぉぉ!」」


 そうやって俺らが同時に放った一撃は多勢にとって効果的な攻撃だった。エリカが起こした水流で呑み込み、そこを凍らせるコンボは見事に決まってのである。それによって纏めて掛かって来た敵を戦闘不能にすることが出来る。そこで味方側に加算されたポイントは、こちらの勝利に大きく作用した。そしてその調子で倒して行き、どんどんポイントを稼ぐのだ。


 そしてタイムアップになった。そこで観戦していた側は見た通りの結果になる。


「Bチームの勝利!」


「よっしゃぁぁぁ!」


「勝ったぁ! あいつらに勝てたよぉ!」


「これで思い知ったはずだ。俺らに敗れたのだから、これからは生意気な口は利けないな?」


「うん!」


 そうやってBチームが一斉に歓喜の声を上げると、そこでシオリ先生が話を始める。


「良い勝負でした。それも両チームとも全力が出せたと思いますが、そこで勝ったのはBチームでしたね? しかし、これは団体での勝負なので、個人になった時にはまだ分かりません。けど、中には思った以上に活躍できた人たちもいたはずです。より多くの敵w倒せるようにしましょう」


(俺は正真正銘とも言える活躍っぷりだった。これには自信を持って言える)


 そうやって自分が倒した敵の数は覚えていないが、それでも多く撃破できた感覚はあったのだ。それだけは確かであると言えるのだった。

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 ドラゴンソウルの覚醒者 源真 @mukuromukuromukuro

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