うらみかた

 消えない根性論こんじょうろん精神論せいしんろん




 立場が変われば考え方も変わるからか、『そんなもんで解決かいけつできるか!』と思っていても仕事のためかなんのためかくり返すのが人間のあだ。





 かたよった世界で生きている以上、何が正しいかだけでは生きていけない。





 優しくて無料とさけぶ場所はもはや下手なギャンブルよりもむごい。





 まともな所はどこも高い。

 ささいなだれかや友の暮らしがうらやましくなり、巻き込んだり巻き込まれた瞬間しゅんかんに幸せではなくなる。





 にくしみの経験はさけてはとおれない。

 大切な存在から別れることが必ずくることと同じように。





 いまだに頭の良さだけ考えるなんて人間じゃどうしようもないか。




 そういったしょうがなさ、しょうもなさも切り捨てた結果が効率こうりつ善悪ぜんあくに幸せや不幸。





 考えられる時に恨みはやってくる。




 と思い上がるとうらみは消える。





 後者こうしゃが大事とおきれいな説教せっきょうを言い放った人間はもうこの世にいない。





 どうやら正しくなかったから消されたのかもしれない。

 たえられなかったのかもしれない。





 自分が理想をいだきすぎたことを。

 こちらをひねくれものだの純粋だの馬鹿にしておいて、何も言い返させてもらえないまま消えやがって。






 だとしたら思い上がって恨みが消えたことが幸せなのか?とかんちがいしそうだった。






 おろかな話だまったく。

 現実はいつもそうだ。






 あんたが正しいばかりじゃないのに、正しかったことになってしまう。

 錯覚さっかくだらけの現実で許せない記憶がきざまれただけだ。






 もうやめてくれ。

 戦いはまだ、続いてしまう。





 今日も走らせるバイクにヘルメットで顔をかくして風でなみだをかわかせる。





 一日の始まりはいつも最悪なままで。

 それでもうらみといたみはうそを許さない。






 無責任むせきにんな誰かによってきれいにつつまれたプレゼントはすぐに捨てるよう今日も考えて準備する。






 道をバイクで走ってもなみだだけはかわく。

 事実と現実は過去になってふりかえることはもう、ない。






 それが今できる『うらみかた』だった。

 下がることもあるが一歩すすませる理由にもなってしまうのが〝うらみ〟なのかもしれない。












 本当はあの場所で仲間たちと過ごし、笑いながらかこまれて死んでいきたかった。


 それが恨みから逃れる方法だとしたら。

 確かに大事なモデルケースだったかもしれない。



 なのになぜ、ここまで苦しいのだろう。

 手にしがたいと考えさせれるものが幸せなのか?


 そこまでして、ほしかったものなのか?

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うらみ方〈カタ〉 釣ール @pixixy1O

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