にくさ、ねむれなさ

 肉体はおくれている。



 でもにくしみは進む。





 何度も時代にあわせて改ざんされていく哲学や仏教本。





 そのたびに現実とのギャップにやつれているだけの日常をずっとインターネットに書くだけでは圧倒的あっとうてきに足らない。





 大事な人の目の前でやりたくもないポーズをとらされたことはあるか?





 力を見せられて弱い者にだけ牙をむかれた瞬間しゅんかんをみたことがあるか?





 親しくなったからとためていたことを話して後にばらされ裏切られたことはあるか?





 全部なりたくてなった立ち位置ではない。

 簡単にここから下りられない恐怖と下りろと無責任むせきにんに言われた経験。





 同じ人間だということをみな忘れて破綻はたんして、たったそれだけの意味で周りを巻き込む。





 それだけではうらみとしては足らないと知りながら。





 優しい上から目線は誰かをこの金ばかりかかる世界で救う言い訳になってましたか?






 相談した時に無料だからとは言わなかったが『現実は残酷だと思う』と話をまともに聞いてくれなかった人間が医療いりょうだのなんだか分からない人類に必要な仕事をしているから偉そうに弱い人間の時間をうばって家族を守り、子供を可愛がっていた。






 心の底から人間の世界は理不尽りふじんで信用できないと思った。






 この時間とふみにじられた気持ちは『安い賃金ちんぎん』とやつらに愚痴ぐちられていると思うと田舎だろうが都会だろうが一番楽をして人を傷つける仕事をしながらきれいごとで暮らせるものがあることを知った時、本当の意味ではらわたがにえくりかえった。






 汗という汗はかわかないまま夏が過ぎて冬でもおさまらない緊張きんちょうが続き、床という床をふんでその痛みと何も変わらない現実になみだをながした。






 ある時は目に血がはしり、帰る時に最低限さいていげんの音と景色だけを聞いてその場をさり何も考えないよう静かに寝れる日を待った。





 そうか。

 





 そして割り切ったフリして金と欲をもとめている。

『私はあなたの味方ですよ』と。

 金と自分たちを特別と思い込んだ者の味方だろ。





 一般論いっぱんろんをふりかざないでほしいと前にあった時、言わなくてよかったと今なら実感じっかんした。





 誰も手にできないらしい幸せを経験した人間ははげましで『幸せになるしか解決かいけつしない』とその人間は教師きょうしだったかじゅく講師こうしだったか忘れたがは能力主義のうりょくしゅぎを子どもにおしつけ、酒を飲む。






 彼を人格者じんかくしゃだと思い込んだこちらが馬鹿だった。






 ああ。

 






 口の中でなにも動かしていなかったのに鉄のアジがした。






 いつのまにか歯を食いしばっていたらしい。

 口のねんまくは丈夫じょうぶだと聞いたことがある。






 痛みよりも今も残る血の味がただ広がった。






 そこまでして考えて動いた結果、幸せも不幸もつくられた極論きょくろんでしかないとまだまだ希望をすてられない今は仮説かせつにしている。






 もうおりたい。

 もう、待てない。

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