第2話 情緒の味覚
明らかにあっけらかんとした朝でした。その後に私を襲ったのは言われようのないほどの暗く深い闇でした。瞼が落ちるより先に意識が朦朧とし、およそ私の脳みそが語れるほどの語彙力をあの時は失っていたでしょう。そして気がつくと私は罪を背負っていました。
寝起きの口内は生臭く、そこに交感神経の働きによって健全な唾液が生成され、より艶かしくその味わいに触れることができました。ファーストタッチは獣のような強烈な匂いが血液の鉄分を押し消していましたが、唾液と絡みったセカンドタッチではその両者のバランスがまろやかさを生み出し、生臭さの奥にワインのような深みとコクのある一品に仕上げてくれました。
ミント味 國 雪男 @shakai
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