干し肉屋敷

ダンジョン最近隣都市リットー、市立ギルドの依頼案内文・掲示板文章

 依頼:

 干し肉屋敷の無力化


 所在:

 リットー地方、北部の森(地図を参照)

 ※個人所有者なしの自由地だが、現在は封鎖中。通るにはギルドの許可を得ること。


 対象情報:

 外観は、土建材と木材を組み合わせた二階建ての一般的な住居に見える。

 しかし、内部は魔術的な拡大があり、二階より上の階層の存在や異常に長い廊下、窓の先に別の部屋が繋がっていたなどの異常が報告されている。

 外壁調査の結果、加工に魔力が用いられていることが判明した。魔法使いの作であるようだが、建築としては作りが極めて雑であり専門の職工が携わったものではなさそうだ。

 恐らくはダンジョン化する前の屋敷の主であり、このダンジョンの主でもあると推察される魔女『ミリー・ファルカン』の自作物だと考えられる。

 なお、彼女は世俗との関わりを断っていたようで、聞き込み調査が実施されたがこの都市を含めた近隣集落のいずれでも有力な証言は得られなかった。


 犠牲者の情報:

 生存者の証言と持ち帰られた遺体の一部などの情報から、“吸われた”と考えられる。

 詳細は不明。

 干し肉屋敷という異名の由来である。

 現物を見たい場合は窓口へ連絡を(吐いたら掃除代を請求します)。


 報酬:

 ダンジョンの“宝”の所有権およびギルドから50万エルの報奨金


 死亡率:高





 掲示板:

 

 具体的な死亡数は出さないのか?

 ↑

 出せないんだよ。めちゃくちゃな数字になるだろうからな。

 これまでにいろんなギルドで四つくらいダンジョン絡みの依頼を見てきたが、どこも情報は伏せてた。


 怖ぇな。宝で一攫千金って夢はあるんだろうがよ。

 ↑

 見んな、そんな夢。ダンジョンに入るくらいなら寝こけてるドラゴンを起きないように爪切りして欠片を持ち帰るほうがよっぽど安全だ。

 ↑

 そんなにかよ。誇張してンだろ。

 ↑

 そう信じるなら行ってみな。


 うるせぇ馬鹿。


 募集:干し肉屋敷依頼の共同挑戦者

 希望者は掲示板に記載か、ギルドの貸し宿舎26号室在住のパルムまで。

 当方騎士道剣術士。防衛を得意とします。

 ヒーラーか後方火力優遇。

 ↑

 乗った。男ならデカイことしようぜ!


 金がねぇんで行ってくる。このままじゃどうせのたれ死ぬからな。それよりはマシだ。

 ↑

 これは俺のダチだ。マジで行きやがって帰ってこねぇ。たぶん死んだ。

 馬鹿だが、強いやつだった。そんなあいつが死んだ。

 本当に危ない、行くな。やっぱり野良の冒険者ごときがダンジョンに関わるべきじゃねえんだ。


 銀食器部隊からここのギルドに手紙が来たってよ。

 そのうち解決すんじゃねえかな。

 ↑

 何だそれ。

 ↑

 ダンジョン専門のイカレ野郎の集まり。


 慣れてるそいつらと一緒に調査すればいい感じに進めるんじゃねえの?

 もしそいつらが来たら俺やってみるわ。


 銀食器部隊へ。

 奇遇ね。お先に失礼。

 カルマ・アルヴェラ

 ↑

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魔法、ダンジョン、報告書 羽根突餃子 @mimimizu

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