会うことのなかった2人

Libra

第1話

「会うことのなかったはずの2人」



─人は会うべくして会うのだろうか。

はたまた「運命」という謎なものによるもので人は出会うのか。

神や仏、そんなのがいるのか。

正直神や仏のことは今はどうでもいい。

時にそれは残酷なことを引き起こすトリガーとなり得るものなのだから。


──────

今日は大学の初講義の日。

大学に行くために支度をしてすぐさまいつもつけている手袋と帽子をつけて、大学に向かった。

頑張って人の目を見て話せるように…という他の人にとっては小さな目標を立て、大学生活に勤しもうと思う。

そして、僕は自分の好きなことの知識を取り込みつつ、なりたい職業に就きたい。

そのためにはどうしてもやはり人とのコミュニケーションは大切だし克服しなきゃ行けないと思っている。

そして僕は両親の期待に応えなくては行けないのだから。

僕の両親は研究者だ。

中学の頃、僕はいじめられ人間関係に疲れてしまい、学校に行けなくなってしまった。

その時に勉強を教えてくれたのは両親だった。

その時にはもう好きなことは決まっていたかもしれない。

だけれど、両親は僕のなりたい職業をいったら怒られると思うからまだ言わないでおく。

いつかその時がきたらと。


初講義の帰り道

ものすごく不思議な、でもとっても綺麗な髪色の人があわてていた。

これは人と頑張って話せるチャンスじゃないかもしれない…。


「あ…あの、だ…大丈夫ですか…?」

─────


─────被検体が逃げ出しました。被検体が逃げ出しました。至急─


ああああああ!

またこの夢か…もう嫌だな。あんなクソみたいなところの夢を見るなんて。

僕は物心ついた時にはもうあの研究所にいた。

友人、家族そんなの知らない。

助けを呼んだって。

いくらやめてと言ったって。

─誰も彼も助けてなどくれなかった。

神も仏もそんなものは人間が作り出した幻想。虚構。全て実在などしない。

あそこでの生活は、もう嫌になると言うほどの暮らしだった。

あいつらの期待に応えられなければ、暴力を振るわれ。

食事の時以外は、勉強ばかり。

─もう耐えられない。

こんなところから俺は自由を求める。

───警告 警告───

被検体f-107536が逃げ出しました

すぐさますぐさますぐさm…


やっと逃げ出せた。

僕は自由になれる。やっと見つけた安寧の場所。僕はそこで自由を…。

……周りの人の目が怖い。全てが研究者連中に見える。

やっと…やっとだぞ…じ、自由を…

─こんな僕に声をかけてきた探偵みたいなやつがいた。

でもこいつだけどうしても研究者どもとはちがうな…と思ってしまった。


「…」


続く

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