見えない文字を摩訶不思議に拾い集める、独特な世界観で描かれた母の物語。

この作品は非常に独創的で、幻想的な要素が強い現代ドラマです。主人公は、母親が「蟲毒(こどく)の壺」から『文字を拾い』ながらひとり寂しく小説を書く過程を、悲嘆に苛まれる視点で幻想的かつ詩的に描いています。母親がそんな方法で執筆する姿は、単なる作家ではなく、金と名誉を得るために壺という混沌の世界で虫けらの如く追い回されるようであり、読む者に強い印象を与えます。

また、母親と父親の関係や、彼女の才能に対する周囲の反応もリアルに描かれており、家族の絆や葛藤が感じられます。特に、母親の才能が家族に与える影響や、主人公が母親を理解しようとする姿勢が感動的です。