事件の裏で何があったのか、とパズルのように色々な事実を組み立てたくなりました。
バレー部に伝わる噂。海の家で遊んでいたバレー部員たちの身に、五年前に「何か」が起こったらしいという噂が語られる。
青春の爽やかなトーンと、都市伝説として語り継がれる不気味なトーンの変調具合が見事で、作中の「ゾワ」っと来る感じを際立たせてくれます。
バレー部員の「彼ら」に何が起こったのか。楽しそうな光景が描かれた後、「次の場面」に移る間に一体何が起こったのか。
ヒントとなるのは「人魚たち」にまつわる噂。この作品における「人魚」と言えば、「あるルール」を持っている存在でもある。
パズル的には、「バレー部員たち」と「人魚の存在」、「部員が失踪した事実」など、組み合わせると「なんらかの絵」が出てくる要素が散りばめられています。
そして、冒頭から登場している「神社で手を合わせる女性」の存在。
これまでの作品を読んでいた人ならば、「きっと部員たちのその後は……」という答えを一つ思い浮かべることはできます。でも、もしかしたら「別の答え」があるのかもしれません。
読む人の一人一人に「何があったか」の答えがそれぞれ浮かぶことでしょう。
これらの事実を読み解き、「あなた」はどんなイメージを想起するか。この作品を一度手に取り、ご自身の目で確かめていただきたいです。