第5詩 【露地】


寂しい露地の路で


駒下駄を鳴らして


発奮(はづ)んで たけなはに


凩(こがらし)を 蹴り急ぐ



若い娘が


そんな 態(わざ)とでなしに



  〈憎らしいと 想うほど……屹(きっ)と〉


  〈彼奴(あいつ)を 想い染める ばかり……〉


  〈ふかい淵のように また新しくも 積もるものがある……〉



奈様(どんな) 面色(おももち)も肖合(にあ)わずにいる


柔(おとな)しい 瞳(しとみ)で


莞爾(にっこり)する


清らに 澤山(たんと)ね



野暮しい薄日が 差し覗けば


若い娘は 密(そっ)と 恍惚(うっとり)する


髪(びん)が 晃乎(きらり)


ひかる


また


打微笑(うちほほえ)みながら


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雅なる詩 夢ノ命 @yumenoto

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