夕焼け

「どうして夕焼けは1日に1回しかないんだろうね」


 秋が近づき、陽が落ちるのが早くなった今日この頃。河原にある道の縁石をよろよろと先を歩く先輩の声が響いた。


「そりゃそうじゃないですか……何言ってるんです……」


 呆れた声でそう呟くと先輩は笑いながらこちらをくるりと向いてきた。


「相変わらず頭が硬いなぁ……そんなこと言われたらせっかくの私の詩的な一面が台無しじゃないか」


「すいません、、」


「ま、そういう真面目すぎるところも私は好きなんだけどねー」


 そう言ってオレンジ色に映える先輩の横顔を見て、思わず顔を逸らしてしまった。


 なんでかわからないけれど、見てはいけないような気がした。


 ゆっくりと視線を戻せば、先輩はもう既に前を向いてまた歩き出していた。


 やっぱり、夕焼けは一日にもう一回くらいあっても良いな密かに思った。


 あの横顔が見れるなら。

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それっぽい書き出し編 堅乃雪乃 @ken-yuki

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