「耳削ぎ」意味がわかると怖くない話

@nen59n

耳削ぎ

 「耳削ぎ」という文化を知っているでしょうか? 

 文字通り人間の耳を切り落とす行為の事です。目的としましては罪人への刑罰、または戦において討ち取った首の代わりに切り取る場合があります。

 後者で耳削ぎをされる人は男性が多かったそうです。まぁ、当たり前ですよね。戦に出る人は男ばかりですから。

 対して前者、刑罰として耳削ぎを受ける人は女性が多かったそうです。なぜだろう、どうしてだろうと調べてみると次の事がわかったのです。

 どうやら過去には、女性を死刑にすることを忌避する文化があったそうです。そして死刑の代替として使われたのが耳削ぎ。

 耳を削がれたことで「非人」として共同体から排除されることがこの刑罰の本質のようです。昔の人達はとても恐ろしい事を考えますね。

 でももっと恐ろしいことがありませんか?それは耳削ぎを受けた人はそれでも生きているという事です。死刑になるような凶悪な人間がまだ息をしている。

 耳を見なければ分からない、もしかしたらあなたの後ろを歩くその人が……

 

 まあ、そんな古い文化はどんな国でも発展とともに廃れ消えていくものです。「耳削ぎ」もそのとおりですね。

 

 …………ですがね、時々、信じられないような古い文化や習慣が残っている地域があるんです。

 どんな地域か? 

 

──そりゃあ【島国】ですよ。


 物理的に断絶された土地は同じように文化の繋がりも断絶されている。薄まったり、混ざったり、流れたりしていかないんですよ。


 これはね、とある平凡な現代の日本人夫妻の話ですよ? 

 最近、彼らの一人息子が3歳になったそうです。可愛い盛りですね。

 ひらがなを読めるようになり、色んな物をゆびさして、その名前を言うようです。

 そしてある日、母親をゆびさしたんです。それも耳を。

 なんて言ったと思います?


────耳が、細い」って、言ったそうですよ?

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