プロローグ2

 大きい病院に辿り着いて、鹿島文月が立っていた。

 黒い髪のショートカットボブ、純白の姿のナース服。

「事情を知っています。だから、ここで検査させてください。熱があったら、中に入れないので」

 ルトは察しているのか、何も言わなかったが、何も察しなかった銀次郎は、手を叩いて、笑っていった。

「ああ、例のコロ」

「それ以上は言わないでください、また最近流行ってるんですから」

 触ろうとしたら、文月は固まってしまった。

「お、お歯黒……」

「はぁ!?」

 銀次郎は驚いた声をあげた。ルトはため息ついて、驚く暇がなかった。

「しかも、白粉つけてますよ!! 落とさないと、でも、病院に……盗むかもしれません。この品物を」

 文月が見たのは、服装のことだった。肌ざわりからして、やはり偽物ではないと、ルトは改めて思ったらしい。

「家に帰ったら、病院道具あるので、義母にしてもらいなさい。ここじゃ信頼できる人がいません」

「ああ、わかった」

「あの人に見せんのー!?」

「兄さん!」

 肘突きで、銀次郎はぐふっと、鈍い声出した。文月達は起こさないように、ゆっくり扉を閉めていった。

「では、頑張ってくださいね」

「ああ」

 銀次郎は、熱い接吻をした二人を見て見ぬふりをしていた。唇を離れたときに、ルトが笑っていった。

「じゃあな」

「はい!」

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式神使いの美琴さん、お仕事です。 赤目夢人 @hulannronn

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