第5話 衝撃の事実

「うーん、、、重い、、、」

佑はうめき声を出しながら目を覚ました。

(なんだ、、、?なんか重いぞ?)

そう思いふと自分に乗っかっているものを見た。そこには普通に佑に乗っかって寝ている歩美がいた。

「おい!くっつくなって言っただろ!」

「う~ん、、、」

佑の声に反応し歩美も目を覚ました。

「あ、おはよ~」

「おはようじゃねえよ言っただろ昨日くっつくなって」

「あ~ごめんごめん!まあでも嫌じゃなかったでしょ?」

「嫌だとかそういう問題じゃなくてだな!」

朝からそんなやり取りをした二人であった。

 今日は平日であるため佑は学校がある。なので朝食をとり速やかに学校に行くことにした。

(朝からなんだか疲れたわ)

朝からわちゃわちゃしたせいで疲れがどっと来た気がした。そう思っている佑を横目に歩美は朝食を作っていた。

「そんなわざわざ作ってくれなくてもいいのに」

「私にできることなんかこんくらいしかないし~この方が佑だって楽でしょ?」

「まあそれはそうなんだが」

そうして歩美の作った朝食を食べ、佑は学校に行く準備をした。

「学校何時くらいに帰ってくるの~?」

「まあ16時くらいだな、まあそれまでゲームしててもいいしなんか暇つぶししてていいさ」

「りょ~、ちなみになんだけどさ、、佑ってどこの学校いってんの?」

「普通にこの地区の商業高校だな」

「え!?」

歩美はいきなり驚いた声を出し、その声に佑も少し驚いた。

「なんだ?いきなりどうした?」

「い、いや、なんでもないけど、、ちなみになんだけど、、く、クラスってどこだったりする?」

「A組だけど?それがどうかしたか?」

「え、、えーくみ、、、、、い、いやなんでもないよ!ほ、ほら!遅刻しちゃうから早く行きな!」

「おう、じゃあ行ってくるわ」

そうして佑は家を出た。


佑がいなくなった後歩美は通っている学校のクラス名簿を見た。

(ほ、ほんとだ、、)

歩美のクラス名簿にずばり、「宮島佑」の名前があった。

(ま、まさか同じクラスだったなんて、、)

実は歩美は入学式以降は一度も学校に行っていない。クラスの人にほとんど顔も見せたこともないし、まだ4月なのでクラスのみんながみんな互いの名前を知らないだろう。なので佑も歩美と同じクラスだとは到底気づくはずもなかった。

(でも、、佑と同じクラスなら行ってみようかな、、?」

そう思った歩美であった。


その一方佑は学校に着き、席に座っていた。ホームルームが始まり点呼をとっていた。

「宮島佑」

「はい」

まだ学校にはそこまで慣れていないのでこの返事をするときも少し緊張する。

(そういや俺の隣の人一回も学校来てないな)

そう考えていると衝撃の名前が呼ばれることになった。

「山口歩美」

「は、、?」

思わず声に出てしまった。なぜなら今同居している人の名前をいきなり呼ばれたからだ。

「どうした宮島、なんかあったか?」

「い、いえ!なんでもないです!」

佑は驚きの表情を隠しきれなかった。

(ま、まあでも同姓同名の可能性も、、あるかもしれんしな)

そんなことあるはずがなかった。あまりにも歩美の状況と隣の席の「山口歩美」と一致しすぎていた。

(まあ帰ったら歩美に聞いてみるか)

そう思っているととある人から声をかけられた

「おい佑生きてるかー」

「ああ、うん」

「どうしたそんな悩ましい顔して」

この男は「佐藤類」俺のこの高校にいる唯一の友達だ。

「いやー、なんでもないよ」

「なんだー?俺たちの仲だろ?話してくれよ」

「いやガチなんでもないから」

いくら親友でさえ今の状況を話すと色んな意味でめんどくさいことはわかっていた。なので佑はいま起こっていることはとりあえず秘密にすることにした。

「わかったぞ!女だろ女!女の悩みだ!」

「うるさい声でかいだまれ」

「うわ辛辣」

思わず棘のある言葉を放ってしまったが図星を突かれた佑にはこのぐらいしか言えることがなかった。


佑と類、二人は体育の授業に来ていた。

「なあ佑」

「なんだ?」

「このクラスの女子で誰が一番可愛いと思う?」

「は、、?」

いきなりそんなことを言う類に佑は困惑気味で返事をした。確かに商業高校なので比較的女子は多く、顔の整っている人も多い。

「あの子とかよくね?中村さん!清楚って感じで可愛いし!」

「ああはいそうですか」

そんなことを言っている類に呆れ気味で佑は返事をした。そうしていると普通に声がでかかったのか中村さんがこっちに来てしまった。

「呼びましたか?」

「ああ!ごめんごめんこっちの話で!気にしないで!」

類はかなり焦り気味で言葉を返した。

「そうですか?宮島さんと、佐藤さんでしたか?せっかくなのでバスケ教えてもらえないでしょうか?」

「ああ、俺らバスケできな」

「もちろん!!俺が教えてあげるよ!!」

断ろうと思った佑を横目に類は調子に乗って引き受けた。

「おい、、お前バスケできんのか、、?」

「わからんけどうまい感じにやっとけばいけるだろ」

二人はぼそぼそ会話をし類は中村さんにバスケを教え始めた。

「ドリブルはほら!軽い感じでたたきつけないようにって感じかな?」

(くっそ感覚じゃねえか)

類は別にバスケ経験者なわけでなはいのでその指導が合ってるのかも危うかった。しかし中村さんはその心配を無駄にするかのように上達していった。

「こんな感じでしょうか?」

「いや上手いな」

元々運動神経がいいのかしっかりドリブルをしてシュートを決めれるほどには上達していた。

「教えていただきありがとうございました!また今度教えてください!」

「おう!じゃあな!」

そうして二人はなんだか少し仲良くなって帰ってきた。

「な?言っただろ?」

「いや何がだよ」

「中村さんが可愛かったってことだよ」

「あーはいはいそうですねー」

「めっちゃ棒読み」

そんなことがありウキウキになった類を横目に佑はさらにどっと疲れることとなった。

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生きる気力の無いギャルを俺の力で人生謳歌させてやる話 波澄千聖 @chisacch0222

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